BMW X4 xDrive 30d Mスポーツ

公開 : 2014.07.26 23:30　　更新 : 2017.05.29 17:59

■どんなクルマ?

ディーゼル・エンジンを組み合わせたBMW X4を、いよいよここ英国で試す時が来た。

X6ととてもよく似たプロポーションをもつX4は、X6よりもいくぶんサイズが控えめで、X3と共通のプラットフォームを使用していることを既にご存知の読者も多いはずだ。X3と比べると、わずかにボディは長く、低くなっている。スポーツSUVだけに、実用性よりもスタイリングに重きを置いている点は、このクルマをひと目を見ればお分かりいただけるだろう。

基本的にはX3のそれとほとんど同じではあるが、X4の方がやや上流思考という位置づけいなっているため、2輪駆動のsDrive18dは、このモデルには用意されていない。

駆動方式は一律で4WD、標準グレードのxDrive20dは、X3よりも£3,600(53万円)高の£36,595(542万円)からとなっている。

ギアボックスは6速MTが標準で、BMW製の8速ATがオプションとして用意される。ちなみに3.0ℓのエンジンを積むグレードでは後者がデフォルトだ。

トリム・レベルは標準グレード、xライン、Mスポーツの3種類で構成され、Mスポーツには259psの6気筒ディーゼルである30dと、その312ps版の35dが用意されている。その中でもわれわれは30dをテストした。

シャシーの味付けの変更を受ける他にも、パフォーマンス・コントロール、可変スポーツステアリング、Mスポーツ・サスペンションがテスト車両には組み合わされていた。

またX3では標準の18インチ・ホイールと、40:20:20の比で分割可能なリア・シートが備わり、フロントシート・ヒーター、パーキング・センサー、電動テール・ゲート、BMWビジネス・メディア・パックも標準キットとして用意されていた。

■どんな感じ?

兄貴分であるX6と比べると、X4はいくぶん穏やかになっている。もっともこの印象は、最初に海外でテストした時と同様だ。

X6をテストした際、やはりその堂々たる体躯に馴染むのに時間がかかったのだが、X4に関しては全方向で小さくなっているだけに英国の道路状況に非常に馴染みやすいと感じる。まずまずの出来だ。

中を見ていくと、クーペに近い流麗なルーフ・ラインをもつだけに、やはりその分頭上は制限されるのだが、かといって大部分の大人が窮屈に感じるほどのものではない。安心して良さそうだ。

インテリアのスイッチ類は、現行3シリーズのものを流用すれば、さらなる高級感を得られるかもしれない。

トランク・ルームも同様、シートを起こしているときは、十分というには少し躊躇うのだが、シートを畳んでフラットにすれば、500ℓというそれなりの容量は確保できる。

一方フロント・シートのスペースには、何ら問題はない。頭上のクリアランスは広大、足元のペダル配置はわずかに寄り気味ではあるが、ドライビング・ポジションはもはや完璧の域に達している(X3に比べてシート高は30mm低い)。

X3比-36mmの車高のおかげで、重心も下げられているし、シャシーにも手を加えられているために路上を走らせれば、その恩恵を多分に受けることができる。巧みに背の高さによる弊害を補えていると言えるだろう。

スポーツ・モードではダンパーが硬くなるために、頻繁ではないのだがドライバーを上下に揺らすことがあったが、グリップは豊富、トルクも必要にして十分といったところだ。

BMWは直列6気筒エンジン作りに熟達しているのは言うまでもなく、今回の30dのエンジンも例に漏れず、終始快調だった。

最も柔らかい ’コンフォート’ モードでも、Mスポーツのホイールが原因して乗り心地にやや緊張感があるのは惜しい点だが、スポーティだと捉えれば、さほど気にはならないレベルではある。

四捨五入すると乾燥重量は2トンに達するが、条件が揃えば17.0km/ℓも難しくはないだろう。

■「買い」か?

仮にX6が大きすぎるとお思いならば、X4がより魅力的に映る可能性は高い。

そのうえ見慣れたSUVとは違う、スタイリッシュな出で立ちはどこからどう見てもお洒落なのだ。スポーティな乗り心地は、このクルマのキャラクターにもピッタリだ。

だからと言ってBMWは油断できない。というのも、ここ最近はポルシェ・マカンSディーゼルのように幅広い能力を持った小さなSUVが立て続けにデビューしているからだ。

そのうえ約600万円という価格は決して安くない。この下にはxDrive20dが、さらに経済的なランニング・コストをもって準備しているのだから、これからはxDrive30dの確固たる存在意義が問われることになるだろう。

(ニック・カケット)