ポルシェ904 GTS(1964年)

ポルシェは、シチリアで開催されるタルガ・フローリオという過酷なレースに参戦するため、初の「GTS(グランツーリスモ・スポーツ)」モデルを設計した。このレースで表彰台に立つためには、スピード、安全性、快適性が必要とされた。

1964年、904 GTSが同レースで見事に優勝を果たす。以来、928、911、ケイマン、パナメーラ、そしてカイエンと、GTSの名を承継するモデルは数限りなくある。

ポルシェ904 GTS
ポルシェ904 GTS

ポルシェのGTの中で最も注目すべきは、2003年に発売されたV10エンジン搭載のカレラGTだ。その後継モデルはイニシャルを放棄したが、現在でもGT3やGT2など、いくつかのバリエーションを残している。

トヨタ2000GT(1965年)

ヤマハとトヨタの共同開発による2000GT。レイアウトやデザインなど全体的な基本設計はトヨタ、シャシーやエンジンなど細部の設計はヤマハが担当し、お互いの知見や技術を活かしながら完成させた国産スポーツカーである。日本の自動車産業をジャガーEタイプのような欧州産スポーツカーの領域に引きずり込んだ革新的なモデルで、あらゆる意味で真のグランドツアラーであった。

トヨタがGTの名称を使ったのは、これだけにとどまらない。1986年にはGT-Fourと呼ばれるホモロゲーション・スペシャルも発売された。最近では、トヨタとスバルが共同開発した初代86が、一部の海外市場で「GT86」と呼ばれている。

トヨタ2000GT
トヨタ2000GT

ボルボ123 GT(1967年)

ボルボは1967年、自社のイメージアップの方法を探るため、GTのリングに飛び込んだ。それまで蓄積した膨大なレースノウハウを基に、ボルボ・アマゾンの2ドア仕様として発表されたのが123 GTである。

サスペンションの強化、フロントディスクブレーキ、フォグランプ、大型レブカウンター、レカロシートなどの改良が施されている。P1800から流用された1778ccの4気筒エンジンは、115psを発揮。4速MTで後輪を駆動する。

ボルボ123 GT
ボルボ123 GT

ボルボは1974年、242に再びGTという呼称を与えている。しかし2022年現在、ボルボのラインナップにGTモデルは1台も存在しない。

ミニ1275 GT(1969年)

1969年、1275 GTは初代ミニ・クーパーに代わる高速モデルとして登場した。その車名は、最高出力59psの1275cc 4気筒エンジンに由来する。他のミニモデルと差別化するため、角張ったフロントエンド(写真左端)を採用したが、多くのエンスージアストには受け入れられなかった。

ミニは、歴史的に重要な名称を数多く持っていることもあり、GTの使用を避けている。しかし、2017年、101psの3気筒エンジンを搭載した限定モデル「1499 GT」を発売し、1275 GTにオマージュを捧げたのである。

ミニ1275 GT(左)
ミニ1275 GT(左)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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