アウディ・クーペGT(1980年)

アウディ80の2ドアモデルとして登場したアウディ・クーペGT。メカニカルコンポーネントの多くは80から受け継いだが、ファストバックのようなリアエンドを持つ専用設計となっている。楽しいスポーツカーであり、初代100の後継車としてふさわしいものだったが、ラリーで優勝したクワトロの影響で、影が薄くなってしまった。

現在ではアウディとクワトロは切っても切り離せない深い関係にあるが、GTの名が使われているのは、フラッグシップEVのeトロンGTのみ。電動モデルの普及に伴い、アウディのGTは今後どのような展開を見せるのだろうか。

アウディ・クーペGT
アウディ・クーペGT

GMCユーコンGT(1993年)

GTを名乗るSUVは、当然のことながら希少だ。地上高が高くなるにつれて、クルマのスポーツ性は徐々に失われていく。しかし、GMCは初代ユーコンの2ドアモデルにこのラベルを貼ったことで、GTの神を怒らせることになった。オプションのGTパッケージを装着したモデルは、オーバーフェンダー、アルミホイール、最高出力200psの5700cc V8エンジンを備えている。

GMCユーコンGT
GMCユーコンGT

ポンティアック・ヴァイブGT(2002年)

自動車業界では理解不能なハプニングも数多く発生しているが、ポンティアックが初代と2代目のヴァイブにGTの名称を使用したことも、その1つであろう。経営難に陥ったポンティアックは、標準モデルのヴァイブに搭載されていたトヨタ製1800cc 4気筒エンジンの出力を164psに強化し、スポーティなラインナップとしてGTを売り出した。当然のことながら、初代ヴァイブGTは販売不振のため、標準モデルより先に引退している。

ポンティアック・ヴァイブGT
ポンティアック・ヴァイブGT

ベントレー・コンチネンタルGT(2003年)

ベントレーのほぼすべてのモデルは、グランドツアラーというコンセプトを難なく体現している。室内は広く、ゴージャスで快適、かつ速いクルマを作ることにおいて、ベントレーの右に出るものはいないはずだ。

初代コンチネンタルGTでは、英国車らしさのかけらも失うことなく、GTの本来の定義に近づいている。当初設定された唯一のエンジンが、552psの強力なW12であったことも、その一助となった。

ベントレー・コンチネンタルGT
ベントレー・コンチネンタルGT

クライスラーPTクルーザーGT(2003年)

歴史的に見ると、クライスラーはGTの名称を乱用したわけではない。1980年代にはレバロンの派生モデルとしてGTSやGTCを発売したが、いずれも特に高級なわけでもなく、ロングツーリングには不向きであった。2003年に再びGTの名が使われたが、さて、こちらも的を得たネーミングかどうかは怪しいところ。

PTクルーザーGTは最高出力215psを発揮し、多くの評論家に運転が楽しいクルマであると評価された。しかし、1950年代にイタリア人が作ったGTカーのガイドラインから、取り返しのつかないほど大きく外れてしまっている。

クライスラーPTクルーザーGT
クライスラーPTクルーザーGT

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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