【詳細データテスト】ポルシェ911 ハンドリングが向上 標準サスなら乗り心地は満足 遮音は要改善
公開 : 2022.08.20 20:25 更新 : 2022.09.06 03:44
走り ★★★★★★★★★★
3.7Lフラット6には、洗練されたところと、好ましい獰猛さや生のままなところが共存している。たしかに、サウンド面で傑出したユニットではない。しかし、低速域で機械音が耳に届くことと、2500rpmで81.6kg−mを叩き出す熱狂的なブーストの掛かり方は、間違いなく楽しい。
同じことは、改善された回転域のトップエンドにも当てはまる。クランクシャフトの回転エネルギーの激しさは、7200rpmのリミッターが少なくとも1000rpmは控えめなのではないかと思わされるほど、新たな、高いレベルへ達している。
レッドラインでは、DCTがこれ以上ないほどの精度でシフトアップする。市街地の速度域でシフトダウンする際に、軽くしゃくりあげるところがあるのも、大目に見たくなるほどだ。客観的に見て、このクルマのパワートレインの問題点はそれくらいで、ほとんどの場合、ドライバビリティと、全開アタックで時折見られる気まぐれさとのバランスにただただ感心し、エレガントささえ覚えるだろう。
気まぐれさというのも、めったに出るものではない。それを感じるには、かなり攻めた走りをしなくてはならない。であるから、ここからは具体的なデータの話をしよう。
変速ありの加速では、48−113km/hのタイムが2秒フラットで、これはランボルギーニ・アヴェンタドールSVJより0.3秒、911GT3より0.7秒早い。2速での64−97km/hが1秒ジャスト、3速での97−129km/hが1.5秒というのもずば抜けたタイムだ。
その勢いは、160km/hを超えるような高速域でも衰えない。4速での161−193km/hは2.3秒。ゼロスタートから225km/hへは11.2秒で到達するが、これはターボSより14psパワーが低いものの502kgも軽いマクラーレンF1の、1994年5月に計測したタイムとまったく同じだ。
発進加速では、スポーツプラスモードを使用した。5000rpm付近まで回転が上がると、車体を押さえていたカーボンセラミックブレーキがリリースした途端に飛び出す。おそらく315幅のピレリPゼロは、ほぼホイールスピンしないはずだ。
トラクションは最高で、変速はほぼ感じられず、2.5秒で97km/h、5.7秒で161km/hに到達する。たしかにこれは911のバリエーションだが、そのパフォーマンスはどこを取ってもスーパーカー並みだ。