4気筒に新しい選択肢 ポルシェ・マカン Tへ試乗 専用のシャシー設定 264psは不変
公開 : 2022.08.22 08:25
4気筒マカンの上へ、新たに「T」が登場。シャシーはアップデートされているものの、一層の違いが欲しいと英国編集部は評価します。
スポーツカー以外では初めての「T」
ポルシェの中型SUV、マカンが発売されたのは2014年。初めから4気筒モデルもラインナップされていたが、当初の英国では裏メニューのように特別にオーダーを入れる必要があった。ポルシェとしては、6気筒モデルを積極的に売りたかったのだろう。
しかし、それから8年で状況は変わった。ガソリン価格は上昇を続け、英国では自動車税も高くなった。より少なく小さいモデルへの需要は、間違いなく高まっている。
4気筒エンジンのマカンは、数年前から堂々とグランドメニューを飾るようになった。2018年に第2世代へモデルチェンジして以降は、確実に販売台数を伸ばしている。
というわけで、マカンに新しい4気筒エンジンの「T」が登場した。スポーツカー以外に、ポルシェがこのイニシャルを用いるのはこれが初めて。マカンの4気筒としては、2種類目となる。
このTの1文字は、ポルシェではツーリングを意味する。シャシーをアップデートし、ドライビング体験を高めた内容を与えるというレシピは、クロスオーバーでも変わらない。
マカン Tのフロントに搭載される、2.0Lガソリンターボの最高出力は264ps、最大トルクは40.7kg-mで、これは通常のマカンと同じ。ただし、スポーツクロノ・パッケージが標準装備となり、0-100km/h加速時間は0.2秒短い。
専用のシャシーチューニングで差別化
シャシー側には少なくない手が加えられており、サスペンションには15mm車高が落ちるスチールコイルが組まれる。PASMと呼ばれるアダプティブダンパーも標準装備。エアスプリングはオプションで選べる。
フロントのアンチロールバーは、より強固なものへ交換。四輪駆動システムとトラクション・コントロールは、リアタイヤ側が通常より主役として働くように調整されている。
20インチのアルミホイールで足元が引き締められ、リアスポイラーで後ろ姿をスタイルアップ。バンパーのインテーク部分がグレーでコーディネートされるなど、見た目の差別化も抜かりない。これらの変更で、英国価格は5000ポンド(約82万円)のプラスだ。
マカン Tは、ベースグレードのマカンとV6エンジンのマカン Sとのギャップを埋めることになる。4気筒エンジンということで、どちらかといえば通常のマカン側に近い。
さて、実際に運転してみると、もう少しパワーがあってもいいと感じた。エンジン自体は、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同じもの。恐らくポルシェのオーナーとしては歓迎できる事実ではないと思うが、間違いなく能力は高い。
洗練性に優れアクセルレスポンスは鋭く、7速デュアルクラッチATとの愛称はバッチリ。しかし、ハッチバックでは余力に溢れているものの、大柄なクロスオーバーの場合は異なるようだ。車重は1865kgもある。
筆者がポルシェの技術者なら、よりパワフルで個性豊かなホンダ・シビック・タイプRのユニットを選びたいと考えるかもしれない。実現不可能だとしても。