EVで攻勢かける韓国勢 ヒョンデ・アイオニック6 試作車へ試乗 航続距離611km

公開 : 2022.08.29 08:25

広々とした車内空間 内装も好印象

フロントに内燃エンジンがないぶん、車内空間も広々としている。リアシートの足元まわりは、メルセデス・ベンツSクラス並みにゆとりがある。

フロアが高く全高が低いため、上下方向には多少の制限がある。体を寝かして座るために、余裕のある前後長は必要でもあるようだ。外からボディを眺めている限り、フロア下の駆動用バッテリーが高さを奪っていることはわかりにくい。

ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ
ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ

ドライビングポジションはBMW 3シリーズほど低くはないが、窮屈でもなかった。ステアリングホイールの調整域は大きく、丁度いい姿勢に整えることは難しくない。

インテリアでは、実際に押せるハードボタンの数を減らしたとヒョンデは説明する。タッチモニターに集約すると使い勝手に影響が出そうだが、実際にアイオニック6へ触れた限り、想像以上に扱いやすかった。

ダッシュボードの中央には、大きなタッチモニターが据えられている。同時にショートカットキーが用意され、エアコン用に独立したインターフェイスが設けられ、機能的といっていい。

パワーウインドウのスイッチは、ドアパネル側にない。センターコンソールに並んでおり、少し前のレイアウトだと懐かしむユーザーもいそうだ。

内装はプロトタイプ然としており、仮に成形されたプラスティック製部品が多かったが、デザイン自体は魅力的でもあった。本来の素材が用いられソフトタッチ加工されれば、ぐっと雰囲気は高まりそうだ。車内は明るく、居心地が良かった。

チューニング次第で高評価も難しくない

筆者が試乗したのは、欧州本土の都市部に近い一般道。サスペンションの設定は、この地域に合わせてさらにチューニングを加える予定だという。

運転した印象は、全般的にアイオニック5と似たものだった。ステアリングホイールはやや重めに設定され、直感的に操舵できる。クイックなテスラとは反応も異なる。

ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ
ヒョンデ・アイオニック6 プロトタイプ

後輪操舵システムの採用予定はないようだが、全長4855mm、全幅1880mm、ホイールベース2950mmもある比較的大きなサルーンは、驚くほど小回りが効いた。乗り心地はアイオニック5よりエッジのあるものだったが、今後の調整で変わってくるはず。

パワートレインはヒョンデのBEVらしく、滑らかで力強い。加速は鋭く、ステアリングホイール裏のパドルで回生ブレーキの強さを調整できる。

アイオニック6の英国価格は、約4万5000ポンド(約742万円)からが見込まれている。アイオニック5やテスラ・モデル3より僅かに高いものの、ボディサイズはこちらの方が大きい。

今回のプロトタイプ試乗は短時間で、もどかしい思いになった。それでも、第一印象が良かったことは告白しよう。英国の一般道にも適したチューニングを与えることができれば、高い評価を得ることも難しくないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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