記憶に残るクルマといえるのか マツダCX-5(1) 長期テスト 2.5L自然吸気のSUV
公開 : 2022.09.04 09:45 更新 : 2022.10.26 08:35
ドライビング・ファンなファミリーSUV、CX-5。他ブランドとは異なるコダワリで作られたモデルを、長期テストで確かめます。
初回 強い独自性で存在感を放つマツダ
マツダらしくあることは、簡単ではないだろう。日本の広島に拠点を置く自動車メーカーは、強い独自性で存在感を放ってきた。
世界的なスポーツカー氷河期となっていた時代に、手頃な2シーターのMX-5(ロードスター)を発表。ほぼ唯一といえたロータリーエンジンを、観音開きの4シータークーペに搭載してきた過去もある。
近年は、多くのメーカーが排気量を小さくしターボチャージャーで過給する道を選ぶなかで、毅然として自然吸気エンジンの可能性を追い求めてきた。ブランドの粘り強さに、感心する英国人は少なくない。
自動車市場は、クロスオーバーやSUVへ大きく流れている。多くの人が、ドイツ製の電動化されたモデルに関心を寄せている。流石に、この流れにはマツダも逆らえないらしい。現在の英国では、マツダの販売台数の60%をSUVが占めている。
今回、英国編集部の長期テストにやって来たのは、フェイスリフトを受けた新しいCX-5だ。ファミリー層向けに開発された中型SUVで、一般的にはあまり運転が楽しいとはいえないカテゴリーに属している。
今回確かめたい疑問は、比較的シンプル。各メーカーが新モデルをリリースし、混迷するカテゴリーの中にあって、カッコいいマツダらしさは健在なのかどうか。数か月の試乗を通じて、CX-5の実力に迫ってみたい。
魂動デザインの魅力が表現された見た目
CX-5の見た目はカッコいい。少し過剰気味に個性を放とうとするライバルもいるが、マツダはずっと控えめ。同社が掲げるデザイン・スタイル、魂動デザインの魅力が良く表現されていると思う。
車群のなかで目立つクルマではないかもしれないが、間違いなくハンサムだ。ボディカラーはオプションのエターナル・ブルーマイカで、これも普段の道での上品さを高めているように思う。
エンジンは、2.5L 4気筒のスカイアクティブGと呼ばれる自然吸気ガソリン。英国仕様では最高出力193ps、最大トルク26.2kg-mを発揮する。ターボではない証拠として、最大トルクの発生回転は4000rpmと高い。
マツダは、2.5Lという排気量が正しいと考えている。この車格のSUVには、必要な大きさということなのだろう。一方、マイナーチェンジで気筒休止システムを採用し、燃費はカタログ値で12.5km/L。実際の利用条件での数字が楽しみだ。
近年はガソリン代が高い。少しでも燃費は良い方がうれしいことに間違いはない。
エンジンはノイズが大きいものの、それに伴うパワー感はあまりない。保守的なユニットとはいえ、第一印象で秀でているわけではない。これからの普段使いで、印象はどのように変化していくだろうか。