価格破壊級のBEV MGモーター MG4へ試乗 ID.3より活発で快適 しかもお手頃 前編 

公開 : 2022.09.13 08:25

SAICグループ傘下のMGモーターから、新型BEVが登場。コストパフォーマンスに長けた内容を英国編集部は高く評価します。

これまでのMGモーターで1番の仕上がり

数年前まで、MGモーターがフォルクスワーゲンに伍するモデルを生み出す可能性を話しても、真剣には受け止めてもらえなかった。英国人なら、皮肉たっぷりに当時のモデルの特徴を並べ、否定的に反応しただろう。

しかし2022年の今なら、新しいバッテリーEV(BEV)のMG4へ1度試乗してから答えた方がいい。スタイリングやパッケージング、価格、装備などを確認すれば、MGモーターがこれまで生産してきたどのモデルより優れているとわかるはず。

MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)
MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)

しかも、運転もホドホドに楽しめる。内容を考えれば、思わず価格を2度見したくなる。

現在は中国の上海汽車(SAIC)グループの傘下にあるMGモーターだが、広告戦略に関わってきたベテランのガイ・ピグアナキス氏は、このMG4を「創造的破壊者」だと表現する。40年以上も自動車業界にいる人物なのだから、かなりの自信なのだろう。

ピグアナキスが特に強調するストロングポイントが、英国では月額300ポンド(約5万円)で乗れる残価設定プラン。価格が手頃なだけでなく、数年後の価値があまり下がらないことを意味している。

英国ではディーラー網も充実しているし、7年間と12万8000kmの新車保証も付いている。確かに、MGモーターのベストセラーにランクインできる条件だと思う。既にブランドの人気には火が付いており、売上げも上昇の一途らしい。

51kWhか64kWhのバッテリーに充実装備

MG4のベースとなっているのが、親会社となるSAICグループが開発したモジュラー式プラットフォーム。同グループが有する他ブランドのモデルも利用しており、スケールメリットは大きい。

MG4では、フラットな駆動用バッテリーがフロア部分を専有し、コンパクトな駆動用モーターをリアアクスル側に配置。前後の重量配分は、50:50とバランスが良い。

MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)
MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)

駆動用バッテリーとモーターは2種類から選べる。1番ベーシックなMG4 SEには、51kWhのバッテリーと170psのモーターが組み合わされ、英国価格は2万5995ポンド(約428万円)から。航続距離は350kmで、0-100km/h加速は7.7秒となる。

SEロングレンジでは駆動用バッテリーが64kWhへ増え、航続距離は452kmへ伸びる。モーターも203psへ増強されるが、車重が増えるため0-100km/h加速は7.9秒と若干だが遅くなる。英国価格は2万8495ポンド(約470万円)からだ。

最上級グレードとなるのがMG4 トロフィー。64kWhの駆動用バッテリーに装備が追加され、価格は3万1495ポンド(約519万円)へ膨らむ。

といっても、SEの装備が不足しているわけではない。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応した、10.25インチのインフォテインメント用タッチモニターと、デジタルラジオ、7.0インチのメーター用モニターなどが標準装備される。

運転支援技術も充実しており、レーダー式のクルーズコントロールに車線維持支援システムなどを実装。ドライブモードには5段階があり、回生ブレーキは4段階に強さを変えられる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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