ダイハツ・ムーヴ・キャンバス NAとターボに試乗 ターボで広がる個性派ムーヴの可能性

公開 : 2022.08.28 05:45

ダイハツ・ムーヴ・キャンバスに試乗。外観は先代踏襲も中身は大幅進化。追加されたターボの魅力も解説します。

キャンバス刷新 ターボも登場

6年ぶりにして初のフルモデルチェンジ(FMC)をおこなったムーヴ・キャンバスだが、外観はマイナーチェンジかと思えるほど先代のデザインを踏襲していた。

パッケージングと車体構造はタントの低全高型といえ、1655mm(FF)の全高にスライドドアを採用。車名からすればムーヴのスライドドア仕様とすべきだろうが、容量と見晴らしを重視したキャビンまわりの設計はタント寄りのキャラクターと実用性を求めたモデルを示している。

ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・セオリーGターボ
ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・セオリーGターボ    佐藤正勝

ダイハツ新世代ハードウェアのDNGAを展開したパワートレインやプラットフォームを採用。

安全&運転支援機能もグレードアップ。設計面でもダイハツの最新モデルとなった。

また、FMCを機に待望のターボ車も導入された。高速道路を使用した中長距離用途まで考えているユーザーには大きな福音である。

にもかかわらず、先代のデザインを色濃く引き継ぐのはデザイン面のキャラが大きなセールスポイントになるため。

評判のいいデザインにはあまり手を加えずハードウェアをアップデートさせたわけだ。

もっとも、従来型がダイハツが想定した以上に幅広い年齢層に支持されたため、主に年配ユーザーを対象にキュート控え目に渋みを加えた大人味の「セオリー」系を設定。

従来キャラを引き継いだ「ストライプス」系との2系統構成となった。

走りに余裕 ターボで広がる用途

最高出力はNAが52ps、ターボが64ps。

ターボはNAの約1.7倍の最大トルクを発生するにもかかわわらず最高出力が64psなのは業界自主規制による。

ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・ストライプスG
ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・ストライプスG    佐藤正勝

一般市街地走行の印象は最高出力相当。パワースペック以上にNA車が力強い。

錯覚というと語弊があるが、NA車の力強さはパワートレイン制御の妙技。

低中負荷域でエンジン回転数を抑えた結果の力強さであり、その方法はスロットルの大開きである。

感覚的にはペダルストロークの7割方で最大トルクの9割以上を使ってしまい、そこから先の加速はダウンシフト頼み。登坂や高速の加速でやたら高回転を使用する。

要するに高負荷域ではスペックどおりなのだ。

これはキャンバス特有ではなく、軽乗用全般にいえることで、タウンユースでは扱いやすさの面でメリットでもある。

基本的なスロットルや変速の制御はターボ車にも共通しているが、トルクに余裕がある、つまりエンジン回転を抑えて巡航できる速度域が広く、加速時のダウンシフトも少なくできる。

100km/h巡航時のエンジン回転数と維持するための回転変化はNA車とは段違いだ。

60km/h以下ではターボの必要性をあまり感じないが、高速道路走行まで視野に入れるならターボは必須。

ターボ車の追加はキャンバスの走行性能面の適応用途を大きく拡大した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    佐藤正勝

    Masakatsu Sato

    1964年生まれ。1984年東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、八重洲PRセンターに入社。86年にF1/ルマン24時間を撮影後何かのスイッチが入ったらしく退社。フリーとなり国内外のレースを撮影。91年に撮影したDTMで、また何かのスイッチが入ったらしくどっぷりドイツ漬けに。現在は撮影のみならず、CS放送でのレース解説や雑誌への執筆も。

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