小さくて何が悪い? 忘れがたい小排気量エンジン搭載車 18選 ファッショナブルな1台も
公開 : 2022.09.04 06:05 更新 : 2022.09.26 14:36
NSUヴァンケル・スパイダー – 497cc
1960年代、ロータリーエンジンは従来のレシプロエンジンに代わる有力な選択肢として考えられるまでに発展していた。そんな中生まれたNSUヴァンケル・スパイダーは、497ccのロータリーエンジンで50psを発生。パワーウェイトレシオは100ps/トンを上回り、最高速度160km/hを達成するなど驚異の性能を誇った。
ヴァンケル・スパイダーのカタログスペックはよく出来ていたが、そのエンジンは魅力的であると同時に致命的なものでもあった。信頼性の低さと、定期的なメンテナンスの必要性を理解しないオーナーのせいで評判を落とし、販売は低迷。1964年から1967年までの3年間にわずか2375台が製造されただけで終わってしまったのだ。
フィアット500ヌォーヴァ – 479cc
フォルクスワーゲン・ビートルが戦後ドイツを立ち上がらせたように、フィアット・ヌォーヴァ500はイタリアを元気にした。いずれもリアマウントの空冷エンジンを搭載していたが、排気量497ccのパラレルツインという点でビートルとは異なる。後に499ccに拡大され、パワーと柔軟性を増した仕様が1975年まで生産されている。
また、標準の500ヌォーヴァでは最高出力が18psであるのに対し、アバルトの695 SSでは40psまで向上。わずか500kgの車体に、イタリアの活力が注ぎ込まれたのだ。
シトロエン2CV – 375cc
戦前に開発が始まったシトロエン2CVは、1948年にデビューするやいなや、フランスで大ヒットを飛ばした。出力わずか9psの375cc水平対向2気筒エンジンは、人を乗せて走るのがやっとといったところで、本国以外で居場所を見つけるのには時間がかかった。1954年に12psの425cc仕様が登場するまでは、4人乗りは苦行であった。
パワーは大したものではないが、2CVの小さなエンジンは、シンプルさが一番の武器である。空冷式のためメンテナンスが容易で、万一、大がかりな修理が必要になっても、1人で持ち上げられるほど軽量である。この点は、2CVのレース活動にも大いに活かされ、10分以内にエンジンを交換することもできる。
スバル360 – 356cc
四輪駆動で有名なスバル車のルーツは、排気量356ccのエンジンを搭載したスバル360である。当時の厳しい軽自動車規格により、サイズと排気量に制約があったため、2ストローク2気筒エンジンで十分だったのだ。
多くのライバル車よりもパワフルで、出力は25psを発生。549kgの車体に4人が乗り、100km/hを出すことができた。しかし、ホンダやトヨタのライバルに比べると車内は狭く、昆虫のようなデザインも受けが良くなかった。それでも、1958年から1971年まで粘り強く生産が続けられた。