マツダ・サバンナRX-7xポルシェ944 S2 似た見た目・異なる個性 2台のカブリオレ 後編

公開 : 2022.09.11 07:06

FRスポーツカーの優れた能力に、大空を謳歌するオープントップを融合。英国編集部がネオクラシック2台を乗り比べしました。

自由で滑沢な運転スタイルが向いている

マツダ・サバンナRX-7のステアリングは、ロータリーエンジンと同じく滑らか。ポルシェとは異なりメカニカルな感触は薄いものの、可変レートでクイックに反応する。グリップの限界領域まで迫ると、フィードバックが増すようだ。

ホイールベースはRX-7の方がポルシェ944 S2より長いものの、ひと回りコンパクトで機敏に感じる。慎重にクルマへの入力を調整しながら味わうというより、スムーズな5速MTのレバーを操り、積極的に運転を楽しむスタイルの方が向いている。

2代目となるFC型では、マツダは初代の軽快な個性からの方向転換を図った。ボディは大きくなり車重も増え、アメリカの大通りをゆったり流すような性格へ変わったと、批判する人も当時はいた。

だが、市場全体がゆったりと長距離を流すグランドツアラーへ移行していた。日本の競合モデルも、同様の変化を受け入れていた。

インテリアは、初代の流れをくんでドライバー・オリエンテッド。ボディサイズの拡大で空間にはゆとりが生まれ、多くのボタンも追加されている。

内装は、当時の日本車らしくブラックのプラスティックで溢れている。それでも、シートとステアリングホイールはレザー仕立て。ダッシュボードの上面も、ちゃんとソフトタッチ加工されている。

レスポンスとパワーの両立を狙ったターボ

メーターは、ブラックの盤面にオレンジの文字で見やすい。その両脇には、リアガラスの熱線やヘッドライト、ワイパーのスイッチが整然と並ぶ。リトラクタブル・ヘッドライトの開閉もここで賄う。

ステアリングホイールから指を伸ばせば操作できるレイアウトは、当時の人間工学の方向性だったのだろう。ドアパネル側へ埋め込まれた送風口など、緩やかに曲面を描く造形がスポーティ。好き嫌いが分かれそうな、単調なポルシェとは好対照だ。

マツダ・サバンナRX-7 カブリオレ(FC型/1985〜1992年/英国仕様)
マツダ・サバンナRX-7 カブリオレ(FC型/1985〜1992年/英国仕様)

ボディでRX-7の特徴となっているのが、ボンネットに開けられたエアインテーク。その下側にはインタークーラーが置かれ、効果的に吸気を冷やした。最高出力200ps、最大トルク26.9kg-mを叶えている。

944が搭載する直列4気筒と同様に、RX-7のロータリー・ターボも進化の途中にあった。1960年代に当時のNSU社と技術提携を結び、ヴァンケル・ユニットの技術を高めていた。

マツダは初めての量産ユニットとして10A型を生み出すと、1967年にコスモスポーツ 110Sへ搭載。1986年には13B型へ進化し、燃料インジェクションと組み合わされ、2代目RX-7の心臓となった。

さらに広島の技術者は、製造業大手の日立と提携。ツインスクロール・ターボを開発し、低回転域でのレスポンスと高回転域でのパワーの両立も狙っている。

コンピューター制御によって、タービンに掛かる圧力を調整。1980年代の水準では、ターボラグを最小限に抑えていた。フラットなパワーバンドと滑らかな回転フィールという、ロータリー・エンジンの強みを引き立てた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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