フルサイズSUVが大胆マイチェン BMW X7 M60iへ試乗 M仕様にMHV 4.4L V8エンジン

公開 : 2022.09.10 08:25

優れたエンジンとシャシーでゆとりある体験

車重はM50i xドライブとの比較で120kgも増えているというが、0-100km/h加速は4.7秒と変わらない。マイルドハイブリッドの効果だろう。燃費は、テスト条件が異なるため直接比較はできないものの、8.2km/Lへ若干改善したという。

トランスミッションは、共通して8速オートマティックが組まれる。素早くスムーズに変速をこなし、追加された動力性能を最大限に活かしつつ、秀でたドライビング体験へ結びつけている。

BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)
BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)

2600kgと軽くない車重にも関わらず、M60i xドライブの勢いの良い瞬発力には驚かされる。これを支えているのが、高速に可変する四輪駆動システムのxドライブ。常に不足ないトラクションを担保してくれ、都市部でもその恩恵には預かれる。

サスペンションは、可変ダンパーとエアスプリングという組み合わせ。コーナーでは、感心するような姿勢制御を披露してくれた。

ステアリングホイールの重み付けは理想的で、反応も正確。全長5164mm、全幅1998mmという大柄だが、ひと回り小さく感じられるほど。

ラグジュアリーSUVらしく、コンフォート・モードを選び、高速道路をヒタヒタと走るような場面でも充足感は高い。V8エンジンは豊満なトルクを生み出し粘り強く、豪奢な車内は穏やかな静寂に包まれる。

試乗車のアルミホイールは23インチだったが、酷く荒れた路面へ進むと、やや落ち着きを失う仕草は見られた。それでも基本的には路面へしなやかに追従し、乗り心地は快適。スポーツ・モードでも、不快に感じる場面はほぼないといっていい。

訴求力大幅アップ V8エンジンも魅力的

今回のフェイスリフトで、X7の訴求力は大幅に高められたと思う。インテリアは先進的で上質さを増しており、マイルドハイブリッド化で走行フィーリングにも磨きがかけられた。最新の運転支援システムも実装し、技術面で最も先進的な1台でもある。

さらにBMWらしく、大型SUVとしてシャープでマナーに優れる操縦性もストロングポイント。褒めるべき点は数多くある。

BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)
BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)

日常的な利用条件で検討するなら、穏やかなxドライブ40iやxドライブ40dの方が賢明ではあるだろう。だがV8エンジンの圧倒的な動力性能や豊かな個性を求めるなら、M60i xドライブへの追加料金をためらう理由はないといえる。

BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)のスペック

英国価格:10万3600ポンド(約1709万円)
全長:5164mm
全幅:1998mm
全高:1806mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:7.8-8.2km/L
CO2排出量:274-292g/km
車両重量:2600kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:530ps/5500-6000rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800-4600rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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