大排気量こそ正義 史上最大のエンジンを積んだクルマ 20選 ロマン溢れるモデルたち

公開 : 2022.09.03 06:05

ダッジ・ヴァイパー(8.4L)

ダッジ・ヴァイパーに繊細という言葉はまったく当てはまらない。V10エンジンが、4代目までに8.0Lから8.4Lに拡大されたのも当然である。このV10では、プッシュロッドエンジンとしては初めて可変バルブタイミングを採用。これにより、最高出力600ps、最大トルク77kg-mを発揮する。2015年に最終モデルのVXが登場する頃には、654psを誇っていた。

GT3レースでは、さらにパワフルなユニットが使用され、689psを発生したが、量産車では600ps近くにまで抑制された。レースチューンでも信頼性が高く、ヴァイパーは数々のレースやチャンピオン獲得に貢献した。

ダッジ・ヴァイパー
ダッジ・ヴァイパー

ブガッティ・ロワイヤル(12.7L)

6台という生産台数を除いて、すべてがビッグだったブガッティ・タイプ41(通称ロワイヤル)。12.7L直列8気筒のエンジンは、もともとフランス空軍のために設計されながら使われなかったものを、最高級車に流用したものである。

1気筒あたり3バルブで、約300psを発生。しかし、バルブは定期的な研磨が必要で、超富裕層オーナーにとっては大変お金のかかる所有物となってしまった。シャシーの中央には3速MTが取り付けられている。コーチワークによっては、最高速度160km/hを超えることもできた。

ブガッティ・ロワイヤル
ブガッティ・ロワイヤル

キャデラック・シックスティーン・コンセプト(13.6L)

キャデラックは2003年、華やかな1920年代からインスパイアされたシックスティーン・コンセプトを発表した。そのルックスもさることながら、搭載された13.6L V型16気筒エンジンこそ、キャデラックの真骨頂であった。V8を2基組み合わせたようなもので、正式な出力は公表されていないが、1000psはあったとされる。2270kgの車重の割には悪くない。

エンジンは32バルブで、4速ATを介して後輪にパワーを送る。キャデラックの燃料管理システムが搭載され、必要に応じて8気筒または12気筒を停止させる気筒休止システムにより、燃料消費を節約することができた。

キャデラック・シックスティーン・コンセプト
キャデラック・シックスティーン・コンセプト

ネイピア・レイルトン(23.9L)

23.9L W12の「ライオン」エンジンを搭載したネイピア・レイルトン。1936年に米ボンネビル・ソルトフラッツ(塩湖の跡にできた平原)で242km/hの24時間記録を樹立した英国車である。ネイピアはロールス・ロイスと並ぶ英国の自動車・航空エンジンメーカーで、現在はワブテック社の一部門としてターボチャージャーを製造している。

1933年に開発されたレイルトンのライオンエンジンは、2500rpmで594psを発揮。シリンダーを4本ずつ3つのバンクに分ける「ブロードアロー」レイアウトを採用することで小型化を図ったほか、デュアルイグニッションなどの航空エンジンのノウハウも生かされている。

ネイピア・レイルトン
ネイピア・レイルトン

65Lの燃料タンクがドライバーのすぐ後ろに置かれているが、燃費は約2km/lと、ハマーH2より悪い。第二次世界大戦後、ネピア・レイルトンは航空機用のパラシュートを高速で制動する実験に使用され、第二の人生を歩むことになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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