ポルシェ718ケイマン RS 比較試乗 メルセデスAMG SLSxBMW M3 GTS 純な運転の喜び 前編

公開 : 2022.09.10 09:45

比較相手はSLS ブラックシリーズとM3 GTS

SLS ブラックシリーズは、フロントエンジン・リアドラブ(FR)のスーパー・グランドツアラー。過去、最も特別なブラックシリーズでもある。

アッファルターバッハに拠点を置くAMGが開発した、自然吸気のV型8気筒エンジンは6.2Lと巨大。ドライサンプ化され、新しいシリンダーヘッドが組まれ、ユニット名をM156からM159へ改名。8000rpmで630psを発揮する。

メルセデスAMG SLS ブラックシリーズ(2013年/英国仕様)
メルセデスAMG SLS ブラックシリーズ(2013年/英国仕様)

パワーウエイトレシオで400ps/tを超えた初のメルセデスであり、エンジンが主役といっていい。とはいえ、ルックスも718ケイマン RSに劣らないくらい威勢がいい。よりスーパーカーらしい出で立ちだ。

プレミアが付き、価格は高騰中。今回お借りするのに、70万ポンド(約1億1550万円)の損害保険が掛けられている。

対して、歴代のBMWで最もハードコアなM3といえる1台が、E92型のGTSだ。ドアを開けば、レーシング・ハーネスがシートに掛かり、内装は718ケイマン RSより簡素。走りという目的に、より実直といえる。

オレンジ色のロールケージに、自然吸気V8エンジンという熱々の組み合わせ。BMWらしいシャシーとの一体感が、素晴らしい喜びを与えてくれるはず。この2台との比較で、最新の718ケイマン GT4 RSの仕上がりを確かめてみたい。

シャシー中央に近い理想的なポジション

テストルート途中の駐車場へ3台を並べる。M3 GTSのリアウイングは1番小さい。新車当時の印象は違っていたはずだが、最近はスポイラーへ鈍感になっているのかもしれない。シリアスなクルマには、充分な大きさの羽が欲しいと思ってしまう。

ポルシェのテールゲートには、巨大なウイングが載る。スワンネックのステーが与えられ、いかにも良く効きそうだ。718ケイマンのスタイリングにもよく似合う。

BMW M3 GTS(2010年/英国仕様)
BMW M3 GTS(2010年/英国仕様)

小さな男が大きな武器を振り回しているようだが、英国の公道では、コンパクトなボディの方が何かと有利。日本でも同様だと思う。

SLS ブラックシリーズのリアデッキにも、カーボン製の大きなウイングが立っている。さほど目立たないのは、ボディ全体の空力パーツが盛大だからだろう。

そして大きい。車線を満たすほど全幅が広く、ボンネットも長い。ガルウイングドアを開くと、さらに威圧感は大きくなる。注目度でいえば3台でダントツの1位だ。

インテリアを比べてみよう。SLS ブラックシリーズはウエストラインが高く、ボンネットが高く、一段と低く設定されたリア寄りのシートと相まって少々圧倒される。

ポルシェも同様に低いが、シャシー中央へ近い理想的なポジションに収まれる。内装はほぼ全面が、ダイナミカと呼ばれるスウェード調クロスで仕立てられ、落ち着いている。

カーボン製シェルが裏面に見えるバケットシートは、快適性とサポート性を両立。操作系の中心に座れ、ボディの四隅の感覚も掴みやすい。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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