トヨタ工場の影響は大!? 8月も続いた、新車販売の前年割れ どうなる自動車業界?
公開 : 2022.09.02 05:45
8月の新車販売レポート。前年に比べてマイナス9.2%です。回復のカギを、ある業界関係者は「トヨタの生産ライン」と考えています。
登録車 マツダ/スズキ/三菱は伸ばす
半導体などパーツの供給不足・原材料価格の高騰などは続いているものの、従事者の新型コロナウイルス感染による生産ラインの一時稼働停止は徐々に解消しつつある日本の自動車業界。
2022年8月の国内新車販売台数は、その傾向が数値となって表れた。
8月の登録車の新車販売台数は、前年同月比13.3%減の17万9075台と、12か月連続でのマイナス。
一方、8月の軽自動車の国内新車販売台数は、同1.9%減の11万967台と、2か月ぶりのマイナスとなる。
結果として、トータルでの国内新車販売台数は、同9.2%減の29万42台と14か月連続での前年実績割れ(自販連/全軽自協調べ、速報値)。
マイナス幅としては7月の7.4%減よりやや増加したものの、2ケタ減が続いた2022年上半期に比べると改善傾向を示している。
登録車の8月のブランド別新車販売台数では、部品供給不足などによる生産停止の影響が小さかったブランドが前年実績超えを達成。
具体的には、ホンダが同3.4%増(2万1154台)、マツダが同23.6%増(1万170台)、スズキが同45.0%増(7911台)、スバルが同12.4%増(6348台)、三菱自が同58.6%増(3976台)とプラスを記録する。
一方、トヨタは同26.4%減(7万7028台)、日産は同3.5%減(2万165台)、レクサスは同8.1%減(3224台)、ダイハツは同3.2%減(2610台)と苦戦した。
以上の結果を踏まえると、前月および前々月と同様、通常では登録車全体の50%強のシェアを占めるトヨタ系ブランドが生産ラインの一時稼働停止によって販売台数を大幅に落とし、その影響が登録車全体の新車販売台数の前年実績割れにつながった、と考察できる。
軽はホンダが減 前年割れ解消のカギは?
軽自動車の8月のブランド別新車販売台数では、前年同月比1.3%増(3万6378台)を成し遂げたスズキが、2か月ぶりにシェアトップを獲得。
前月首位のダイハツは、同5.2%減(3万5560台)にとどまって第2位に陥落する。
また、日産は同34.3%増(1万3170台)、三菱自は同10.7%増(3197台)とプラスを達成。ホンダは同18.1%減(1万6538台)とマイナスが続いた。
一方でOEM供給を受けるブランドは、スバルが同11.4%増(1437台)と前年実績超えを記録。対してトヨタは同24.7%減(2501台)、マツダは同1.0%減(2185台)と低迷した。
業界の声は?
8月の新車販売に関して業界団体の関係者は、「8月は新型コロナウイルス感染者および濃厚接触者の増加による生産ラインの一時稼働停止は縮小したものの、半導体などの部品供給不足は続いており、その結果、新型車や人気車の受注残に対応し切れず、最終的に新車販売の前年実績割れが続いた。一部車種では受注の停止も発生している」と解説する。
今後については、「受注は新型車を中心に底堅く、今秋以降も多くの受注を獲得しそうな新型車や特別仕様車が精力的に発売される予定なので、プラスに好転する可能性は十分にある」
「生産現場の一時稼働停止は今後も発生する見込みだが、海外を含めたサプライチェーンの混乱は改善しつつある。カギはトヨタの生産ラインの本格回復にあるだろう。一方で不安材料としては、ウクライナ情勢に伴う原材料の供給不足や価格の高騰、円安の進行、そして新型コロナウイルスの感染者数の高止まりなどが挙げられる。中期的にみると、受注残を本格的に解消できるだけの生産体制の構築は、しばらく先のことになりそう」と推測した。