羨望のカレラRSR 2.8を再現 ルーフ3.4 RSRへ試乗 年間1台のスペシャル911 前編

公開 : 2022.09.06 08:25

カレラ3.2用のフラット6をベースに3.4L化

リアのエンジンリッドを開くと、クラシック・ポルシェに共通する心臓、空冷の水平対向6気筒が姿を見せる。ただし、RSR 2.8が搭載するユニットとは異なる。

オリジナルは極めて貴重で、腕利きの技術者だったとしても、むやみに手を加えることは歴史の破壊行為に等しい。かわりにルーフは、カレラ3.2用のエンジンブロックをベースに、排気量を3.4Lまで拡大している。

ルーフ3.4 RSR(欧州仕様)
ルーフ3.4 RSR(欧州仕様)

新しいピストンで圧縮比を上げ、ハイカムを組み、6基のスロットルボディが組み付けられている。燃料の供給は、機械式からデジタル制御のインジェクションへモダナイズされている。

エンジンのマネージメントを行うのは、ボッシュ社のモトロニック・ユニット。扱いやすさや信頼性にとって、重要な要素になるそうだ。見た目の印象とは異なり、幅広いオクタン価のガソリンに対応し、高温に強くノッキングも防がれている。

細部の仕上がりにも拘られ、エンジンルームの姿もRSR 2.8とほとんど違いがない。目利きの鑑定士なら、オリジナルとの差異に気づくとは思うが。

車内には、ロールケージと当時風のシートが2脚組まれている。この辺りはRSR 2.8とは異なるものの、不自然さは一切なく非常に美しい。

現代の技術を駆使するルーフによって上質な素材が用いられ、堅牢に作り込まれている。ソリッドでモダンな印象は、独創的で感動的。かなりハードコアな雰囲気ながら、居心地も良い。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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