高速道路の速度制限解除? 英国 次期首相候補「検討する用意がある」
公開 : 2022.09.02 18:05
次期英国首相候補の1人であるリズ・トラス外相は、高速道路の速度制限の見直しを検討していることを明らかにしました。いずれにせよ、現行の高速道路運用方式は撤廃されることになる見込みです。
英国にも「アウトバーン」? 現行運用方式は廃止か
次期英国首相候補の筆頭である保守党議員リズ・トラス氏は、高速道路の速度制限の見直し(および廃止の可能性)を検討することを明らかにした。
保守党の次期党首(ひいては新首相)を選ぶ投票締め切り前の最後の討論会で、聴衆の質問に答えたトラス氏は、速度制限の撤廃を「検討する用意がある」と述べた。
速度制限を完全に撤廃すると、英国の高速道路網は、所々で制限を解除しているドイツのアウトバーンより一歩進むことになる。こうした区間では、130km/hの勧告的制限が適用され、これを超えて事故を起こすと法的処罰を受けることになる。
ただし、トラス氏はこの政策について、まだ「明確な答え」を出すことはできないとしている。2018年、彼女は国内の生産性を高めるために、制限速度を80mph(129km/h)に引き上げることを提唱した。
党首選挙で誰が勝とうとも、英国で導入されている「スマート・モーターウェイ」方式は廃止されることになりそうだ。これは、高速道路の車線拡大に路肩を使用し、一定間隔毎に非常駐車帯を設けることで、工事費用を抑えながら渋滞緩和や排ガス削減を狙う運用法である。2006年から本格的な導入が始まったが、交通事故のリスク増大が懸念され、議論の的となってきた。
トラス氏はこう語った。「スマート・モーターウェイを見直し、機能していないのであれば、できるだけ早く中止する必要があります」
これは、同じく保守党で党首の座を争っているリシ・スナック氏の「スマート・モーターウェイは安全でないから不人気」「政府は常識に反する政策の追求をやめるべき」という以前の発言と同じ意見である。
スマート・モーターウェイでは、停車中の車両が巻き込まれる死亡事故の件数が、従来の高速道路よりも大幅に多いことが明らかにされている。
5月に発表された国有企業ナショナル・ハイウェイズの報告書によると、通常の高速道路での停止車両との衝突による死亡または重傷事故は、2016年から2020年の間に1億マイル走行あたり0.09人の割合で発生している。一方、路肩のない全線走行のスマート・モーターウェイでは、0.19人と2倍以上だった。
政府は1月、2020年以前に建設された区間の5年分の安全データが揃うまで、これ以上スマート・モーターウェイを建設しないことを発表した。これは、変動的な路肩運用が「明らかにドライバーを混乱させる」とした、2021年11月の下院運輸特別委員会の勧告に対応するものである。
保守党は9月5日に新党首を発表する予定である。