既存メーカーを悩ませる? アイウェイズ U5へ試乗 バッテリー63kWh 航続距離400km

公開 : 2022.09.16 08:25

新興メーカーのアイウェイズによる中型クロスオーバー、U5が欧州へ進出。ロンドンで英国編集部が評価しました

2023年には英国でも購入可能になるU5

バッテリーEV(BEV)で急進的に自動車市場へ参入したテスラは、主力の選択肢の1つに選ばれるまで10年を要した。一方で中国の新興メーカー、アイウェイズは同じことを5年で成し遂げようとしている。まだ、殆どが自国内で販売されているけれど。

アイウェイズが設立したのは2017年。現在までに年間の生産能力が30万台という規模の工場を竣工し、自社の研究開発センターと駆動用バッテリーの量産拠点も完成させた。

アイウェイズU5 プライム(欧州仕様)
アイウェイズU5 プライム(欧州仕様)

現在は、100年に1度と呼ばれるようなパラダイムシフトの中にある。このBEVへの大変革期のタイミングを掴み、グローバルブランドに躍り出ようという、大きな野望を実現させることが目標だ。

欧州市場への進出計画も進んでおり、2023年には英国でもアイウェイズを購入できるようになる予定。それに先立って、ファミリー・クロスオーバーの新モデル、U5をロンドン郊外で試乗させていただく機会を得た。

このU5は、同社がイチから開発したBEVで、一切の妥協なく設計・開発を行ったと主張されている。車内空間は最大化され、エネルギー効率も追求しているという。

スタイリングには、不足ない存在感があると思う。近年の多くのBEVも同様といえるが、美しさ以上に重視されている要素なのかもしれない。

広々とした車内 割り切った装備

ドアを開いてみると、車内は確かに広々としている。フロントシートに高身長の大人が座っても、リアシート側にはリムジン級の足もと空間が残る。横に大人が3名並んでも、窮屈には感じないだろう。

荷室容量も大きく、リアシートを使った状態で496Lを確保。折りたためば1619Lへ拡大できる。

アイウェイズU5 プライム(欧州仕様)
アイウェイズU5 プライム(欧州仕様)

助手席前にはグローブボックスが備わらないが、そのぶんゆとりはある。手荷物を隠す場所に困る場合は、レザー製のケースをオプションで追加可能だそうだ。つまり価格を抑えるため、必要と思われる装備以外は割り切って省かれている。

その一環といえるのが、ダッシュボード中央には大きなタッチモニターが据えられる一方で、ナビゲーションがインストールされていないこと。スマートフォンとのミラーリングでまかなうことを、アイウェイズは選択した。

ユーザーはポンプという名のアプリをダウンロードし、手持ちのスマホにインストールすることでナビが使える。交通情報や充電ポイントの検索にも対応するという。

クルマ自体のパワーオンやオフも、このタッチモニターを介して行う。中国企業で技術的なリーダシップを握りたいという、同社の姿勢を象徴しているようにも感じられた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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