価格破壊級のBEV MGモーター MG4へ試乗 ID.3より活発で快適 しかもお手頃 後編 

公開 : 2022.09.13 08:26

SAICグループ傘下のMGモーターから、新型BEVが登場。コストパフォーマンスに長けた内容を英国編集部は高く評価します。

充分以上の加速力 優れた乗り心地

MGモーターの新型バッテリーEV(BEV)となる、MG4。その走りが、これまでのブランドの趣とは異なる点も面白い。

キーを身に着けて運転席へ乗り込めば、自動的にダッシュボードに並ぶ2面のモニターが点灯し、システムオン。ブレーキペダルを踏み、驚くほど大きなロータリースイッチを回してD(ドライブ)を選ぶと、発進の準備は整う。

MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)
MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)

スタートダッシュは活発で、走行中の車内はほぼ無音。鋭く隆起したアスファルトをなだめる、しなやかな乗り心地を楽しめる。フォルクスワーゲンID.3と乗り比べれば、ロードノイズが小さく、乗り心地が滑らかだということに気づくはず。

加速力も、若干だが勢いは良いようだ。ファミリー層向けの手頃なハッチバックBEVとして考えれば、力強さは充分以上。中間加速も不満ないほどたくましく、遅いトラックの追い越しを躊躇することもないだろう。

110km/hを超えた辺りからトルクが細くなり始め、加速の勢いは穏やかになっていく。とはいえ、これは現在の同価格帯のBEVには共通する特性といえ、MG4の主なターゲット層なら気を揉むことはないはず。

ちなみに、0-100km/h加速を5秒以下でこなすツインモーター版のMG4も、2023年に控えている。より積極的に走らせたいなら、こちらを楽しみにお待ちいただきたい。

現在のMGモーターで1番運転が楽しい

リアに搭載された駆動用モーターは即時的に25.3kg-mの最大トルクを発生するため、交差点などで不意にアクセルペダルを踏み込むと、トラクション・コントロールが介入する。そこで右足の力を緩めると、フロントノーズが内側へ巻き込まれていく。

挑発的な挙動ではないものの、正直いって楽しい。コーナリング時のグリップ力にも優れており、姿勢制御は良好。駆動用バッテリーの搭載位置による低重心と、理想的な前後の重量配分、限定的なボディロールなどの相乗効果だ。

MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)
MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)

舗装の古い郊外の道へ進んでも、起伏を滑らかにいなし安定性が保たれる。路面の傾きが左右へ急に転じるような場面でも、不安になるようなことはなかった。現在のMGモーターで、1番運転が楽しいモデルといって良いだろう。

その印象を高めてくれるのが、インフォテイメント用モニターかステアリングホイール上のボタンで選べるドライブモード。ノーマルとスポーツ、エコ、スノー、カスタムの5種類から選択できる。

ブレーキペダルとステアリングホイールの重み付け、アクセルペダルの反応、回生ブレーキの効きの強さが変化する。エコやスポーツ・モードで強くなる回生ブレーキも、扱いやすいと感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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