幼稚園バス3歳児置き去り死、防ぐには? 「スクールバス王国」アメリカ 安全策は意外にアナログ でも確実

公開 : 2022.09.08 07:24  更新 : 2022.09.08 09:59

アメリカのスクールバスにはシートベルトがない?

子どもを守るための多数のルールが敷かれるアメリカのスクールバスだが、実はこの典型的な黄色いバスにはシートベルトがない。

日本の幼稚園バスにもシートベルトの装備はなくてもよいことになっているが、アメリカと日本のスクールバスではシートベルトがない理由が全く違ってくる。

アメリカのスクールバスは厳格に定められた多くの技術基準のおかげで、シートベルトがなくても衝撃を吸収し、子どもたちに影響がない構造となっている。

しかし、同じアメリカでも日本で多く使われているミニバンタイプのスクールバスはシートベルトやチャイルドシートの装備、着用が義務付けられている。

ドライバーに対する規則も非常に厳しい。

3歳女児を死なせた幼稚園バスを運転していたのは、臨時で園の経営者だったとのことだが、アメリカではこういうケースはあり得ない。

スクールバスを運転するのは運転技術や安全確認のスキルはもちろん、子どもたちを守る(=死なせない、けがをさせない、事故にあわない、犯罪に巻き込まれないなど)ための、多くのトレーニングを受けて数々の試験に合格して資格を得たドライバーじゃない限り、スクールバスの運転はできない決まりがあるからだ。

「今日、いつものドライバーが休みだから園長が代わりに運転する」なんてことは絶対にありえない。

そもそも日本ではスクールバスや幼児バスの運転に運転免許証以外、特別な資格は不要なわけだが。

何度も書く。日本は「乗車中の子どもの命」を国の宝として社会全体、国の制度や法律で多方面から守っていこうとする考えが希薄だ。

幼児バスの安全基準もかなり方向性がずれているし、幼稚園でのバス運用ルールも園の方針で統一されていない。

もちろん子どもをクルマに乗せる親への交通安全教育もほぼゼロといっていいだろう。

世界で高い評価を受ける素晴らしい自動車メーカーがたくさん存在する日本。自動車業界から率先して乗車中の子どもを守る方法を考えてはもらえないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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