BMW 335d ツーリング xDrive
公開 : 2014.08.05 23:40 更新 : 2017.05.29 17:59
■どんなクルマ?
”オフィスにBMW335dが到着したぞ” と編集部の誰かがいった。”たぶん335dはBMW史上最高の完成度だと思うよ” と他のひとり。おやおやこれは褒めすぎだよ。と考えながら私はこのクルマに乗り込んだ。
まずはこのクルマの説明からいこう。BMW335dは、いわば3シリーズのトップ・モデルに位置する。つまるところ258psの330dを追いやって、トップの座を射止めたのだ。
セダンやクーペと異なりワゴンには ’M’ グレードがない。その代わりに335dが用意され、標準で4WDの組み合わせとなる。最高出力は313ps、ツイン・ターボ加給のストレート・シックスの燃費は17.7km/ℓとなる。
車両価格は£40,000(592万円)、0-100km/h加速はわずかに5秒を下回る。どうだろう、これらの魅力的な数値を見れば、興味が湧いてきたのではないだろうか?
■どんな感じ?
第一印象は、ほかの3シリーズがそうであるように、ポジティブなものばかりだった。
インテリアの仕上げは良く、使われている素材にも高級感がある。標準装備に不足を感じることは全くなく、レイアウトも考えぬかれている。広さだって素晴らしい。リア・トランクのガラス部分が独立して開閉できるのも、いい印象を与えてくれる要因となっている。
330dと異なるのは、その駆動方式だ。もちろん4WDにすることによって、力強さは演出できるのだが、特にイギリスにおける日常的な使用を考えれば、必須項目とは言いがたい。
通常は前後比40:60でトルクが配分される。そして状況に応じてトルクのほぼ全て(BMWが我々に示した図では99%)を前輪のみ、あるいは後輪のみに絞って配分するという。また空転するホイールには即座にスタビリティ・コントロールが働いて、一瞬のうちにパワー供給が制限され、路面に設置しているホイールに分配する。
本当にそんなことできるの?とお思いだろうか。これに関しては私自身が、雨の降りしきる坂道で試したので保証する。本当だ。同時に後輪駆動のモデルも走らせたのだが、こちらの場合はテフロン加工のフライパンの上を気ままに動きまわる目玉焼きみたく、終始つるつると滑っていた。一方335dは確かにがっしりと路面を掴み続けていた。
もちろんウインター・タイヤを買えば、少しは改善されるだろう。しかしそうしたとしてもxDriveにはとうてい敵わない、と言うことを断言する。コーナリング時にも力を発揮するのは、言うまでもない。
では一般的な路面ではどうか。こちらに関しては、後輪駆動と四輪駆動のモデルの間の違いにほとんど気づくことはないかもしれない。それでもやはりコーナーをゆっくりと走らせてみれば、前者の場合は、動力を伝える後輪に対して舵取りだけを行っていると感じることがあった。
仮にBMWの後輪駆動車に長い間慣れ親しんでいるとしたら、もしかすると四輪駆動の方がわずかに入力に対して、出力に差を感じるかもしれないが、それも極々微かなものだ。
燃費、エンジンのスムーズさや静粛性、賢いギアボックスや高いレベルでの洗練。どれをとっても魅力的なクルマであることは間違いない。そのうえ、簡単に息をのむような動力性能を引き出すことができるのだ。これはうまく付き合っていけそうだ。
■「買い」か?
これに関しては金銭的な問題になってくる。あとはMバッヂを持たない600万を超える3シリーズにどれほどの価値を見出だせるかだ。
しかし購入した暁には、あなたを絶対に満足させると、私は自信をもって言える。
クルマの場合、購入から数年経てば買い替えを検討することになる。しかし、ほかのクルマに簡単に乗り換えられなくなるくらい、惚れてしまうのも、335dならば無理はない。
(マット・プライヤー)
BMW 335d ツーリング xDrive
価格 | £42,820(745万円) |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h加速 | 4.9秒 |
燃費 | 17.8km/ℓ |
CO2排出量 | 148g/km |
乾燥重量 | 1765kg |
エンジン | 直列6気筒2993ccツインターボ・ディーゼル |
最高出力 | 313ps/4400rpm |
最大トルク | 64.3kg-m/1500-2500rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |
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