「フェラーリ275GTB」 なぜ、再び値上がりしたのか? オークションの動向と人気のワケ

公開 : 2022.09.09 05:45

モントレーオークションの結果

2022年8月に北米で開催されたRMサザビーズ・モントレー・オークションには、3台の275GTBが並んだ。

「275GTB 6C」「275GTB/4」「275GTB/C」である。それでは順に説明してゆこう。

RMサザビーズ・モントレー・オークションに出品された「フェラーリ275GTB 6C」。
RMサザビーズ・モントレー・オークションに出品された「フェラーリ275GTB 6C」。    RMサザビーズ

「275GTB 6C」は、60台が作られたショートノーズの6キャブレター版で300psを発揮。出品車は2オーナーで、2001年のレストア後はリビングに飾られていたという。

素晴らしいコンディションを保ちクラシケ認定付きだが、2015年のオークションバブル期に記録した「6C」の最高落札額となる391万ドルに及ばず、281万ドル(約3億8497万円)に留まった。

「275GTB/4」は、6台のみが作られたブラックのボディカラーで、良好な状態を保っていたことから今回バブル期に迫る352.5万ドル(約4億8293万円)で落札された。

「275GTB/C」は別格 10億超え

競技用に造られた「275GTB/C」(S/N:09067)は、12台のみという希少性と、3年に及ぶ徹底したレストレーションが評価され759.5万ドル(約10億4052万円)で終えた。

昨年のモントレー・オークションではフィリピネッティ・チームで活躍した「275GTB/C」(S/N:09079)が出品され、770.5万ドルという過去最高額で落札された。

約10億4052万円で落札された「フェラーリ275GTB/C」。
約10億4052万円で落札された「フェラーリ275GTB/C」。    RMサザビーズ

今回の「275GTB/C」のコンディションは完璧だったが、当時プライベーターが乗った個体でヒストリー的に弱いため高値更新することはできなかった。

こうして見直すとフェラーリ275GTBの人気は健在で、落札額は長期的には上昇基調になっている。

人気モデルは経済不安や天変地異がない限り、値を下げることはないのである。

しかし、最近の円安の影響から日本円に換算すると高額になってしまい驚かされる。日本の愛好家にとって海外からの購入は、しばらくは厳しい状況が続きそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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