フェラーリ・プロサングエ登場 フェラーリ初4ドア パワートレインやスペック GTC4ルッソとの違いを解説

公開 : 2022.09.14 05:25  更新 : 2022.09.14 08:41

V12エンジンはプロサングエ仕立てに

ギアボックスは、やはりSF90ストラダーレでデビューした8段DCTがベース。

その特徴は、2つのクラッチを並列にレイアウトすることで全高を抑え、エンジンの搭載位置を下げることに役立てている点にある。

フェラーリ・プロサングエは6.5L自然吸気式V12エンジンを搭載
フェラーリ・プロサングエは6.5L自然吸気式V12エンジンを搭載    フェラーリ

なお、プロサングエへの採用に際しては、1~7速をクロスレシオとしてスポーツ性を高めるいっぽう、8速をクルージング向けのレシオとして高速燃費を改善したという。

駆動系にもさまざまな特徴があるプロサングエだが、その最大の見どころがV12エンジンにあることは間違いない。

一部にはハイブリッドになるともうわさされたプロサングエのパワープラントには、最終的に排気量6.5Lの自然吸気式V12エンジンが採用された。

しかも、812スーパーファストなどに搭載されたのと基本的に同じF140系である。

ただし、プロサングエ用はシリンダーヘッド、カムシャフト、クランクシャフト、ピストン、コンロッド、ウォーターポンプ、オイルポンプなどを新設計。

プロサングエのキャクターにあわせて、低回転域から潤沢なトルクと生み出す特性に仕立て直したという。

ちなみに、F140IAと呼ばれる新エンジンの最高出力は722ps、最大トルクは73.0kg-mだが、2100rpm以上の回転域では最大トルクの80%以上を発生する模様。

しかも最高回転数は8250rpmで、高回転域では胸のすくようなフェラーリ・ミュージックを奏でるという。

フェラーリ初のアクティブサスペンション

まさにプロサングエの心臓部と呼ぶに相応しいV12エンジンに比べれば地味な存在かもしれないが、ビークルダイナミクスの面ではフェラーリ初のアクティブサスペンションの果たす役割も見逃すことができない。

いや、チーフ・マーケティング&コマーシャル・オフィサーのエンリコ・ガリレラは、「アクティブサスペンションがなければプロサングエは発売できなかっただろう」と言明するほど、重要な意味を持っているようだ。

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ    フェラーリ

その原理は、モーターとギアを使ってリサーキュレーティングボールスクリュー(ボルトとナットを用いて回転運動を直線運動に変換する機構)を駆動し、サスペンションを伸縮させる機構を四輪に搭載。

さらに、加速度計や位置検出用のポテンショメーターも取り付けて四輪の位置と動きを正確に検出するいっぽう、ボディには3つの加速度計を取り付けて挙動の把握に用いている。

また、モーター駆動には48V系システムを使い、高速で強力な車輪位置の制御を実現しているという。

同様のシステムは他ブランドにもあるが、フェラーリはドライバーに自然なフィーリングを与えたり、タイヤの接地性を最大限引き出すことに主眼を置いているという。

他ブランドのなかには、ボディを必要以上にフラットに保ったり、ロールを完全にキャンセルといった一種のギミックに役立てているケースもあるので、メカニズム的には似ていてもその思想やコンセプトはまったくの別物といえる。

さらに4WS、SSC8.0、4RM-S evo、F1-Tracといった電子制御システムをフルに活用することで、全高1.6m弱、車重が2t以上もある4ドア・モデルとは思えない機敏なビークルダイナミクスを実現したとフェラーリは主張している。

フェラーリ・プロサングエのスペック

全長:4973mm
全幅:2028mm
全高:1589mm
ホイールベース:3018mm
車両重量:2033kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc
最高出力:722ps/7750rpm
最大トルク:73.0kg-m/6250rpm
ギアボックス:8速F1 DCT

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ    フェラーリ

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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