アウディR8後継 EVとして2025年頃発売へ 象徴的スーパーカーはどう進化する?

公開 : 2022.09.13 06:05

アウディのフラッグシップモデル、R8の後継となるEVが2025年頃にデビューする見通し。車名やデザインを変えつつ、ブランドの象徴としてどのように進化するのか。アウディ・スポーツの幹部に話を聞きました。

R8後継 車名とデザインが変わる?

アウディR8の後継モデルは、2025年頃の発売に向けて準備が進められている。フラッグシップの刷新と同時に、アウディをEVの先駆者として市場に認識してもらう狙いがある。

アウディの関係者によると、まだ正式には発売が決定していないものの、開発作業はかなり進行しているという。車名も「R8」ではなくなり、デザインも刷新され、長年親しまれてきたモデルとは異なるものになるだろう。

R8の後継モデルは車名を引き継がないものの、フラッグシップとしての立ち位置は守るようだ。
R8の後継モデルは車名を引き継がないものの、フラッグシップとしての立ち位置は守るようだ。    AUTOCAR

現行モデルのR8は2023年末に生産が終了すると考えられており、最終モデルとして「R8 RWD GT(仮称)」が今年末に公開される見込みである。

その具体的な内容について、アウディ・スポーツのマネージング・ディレクターであるセバスチャン・グラムスは、「わたし達が目指しているのは、究極のレース感覚にできる限り近づけることです」と語っている。また、RWD GTの部品の60%がGT3スペックに近いという。

R8は、EVのeトロンGTおよびRS eトロンGTとともに、ドイツにあるアウディ・スポーツの工場で生産されている。ここは、アウディの生産技術の最前線と考えられており、すでにハイエンド電動モデルの生産に向けた準備が整っている施設だ。

主に手作業でR8を生産しているチームは、現行モデルの生産終了後も工場に残り、eトロンGTの仕事に割り当てられるだろう。しかし、数年以内にR8後継モデルの生産に向けて十分な訓練と準備が行われる見通し。なぜなら、アウディは新しいフラッグシップスポーツカーの特徴として、ハンドビルドの要素を残そうとしているからだ。

グラムスはこう語っている。「クラフトマンシップは他社とは一線を画すものですから、絶対に残します。もしR8の後継モデルを出すのであれば、これを続けるように努力するつもりです。お客様にとって重要なことです。R8の中には愛があるのです」

ポルシェの技術も注入 差別化は

プラットフォームとしてはさまざまな選択肢が考えられる。スポーツカーに関する経験を鑑みると、ポルシェの手が入ったものを使用する可能性が最も高い。例えば、ポルシェが最近明らかにしたSSPスポーツ・プラットフォームは、現在ポルシェ・タイカンアウディeトロンGTに使用されているJ1プラットフォームの後継となるものだ。

もう1つ採用の可能性があるのは、718ボクスター/ケイマンの次期EV向けに開発しているスポーツカー専用プラットフォームだ。このプラットフォームは、バッテリーをシートの後ろに垂直に積むことで低重心と最適な重量配分を実現し、ミドエンジン車のようなハンドリング特性の模倣を目指している。ミドエンジン車であるR8の電動後継モデルでも同様の役割を果たせる可能性があるのだ。

2018に公開されたアウディPB18 eトロン・コンセプト。このデザインはR8後継に影響を与える可能性が高い。
2018に公開されたアウディPB18 eトロン・コンセプト。このデザインはR8後継に影響を与える可能性が高い。

グラムスはプラットフォームについて明言を避けたが、「フォルクスワーゲン・グループ内で、同じプラットフォームを使いながら、eトロンGTはタイカンとは非常に異なるモデルです」と開発手腕に自信を見せた。

RS eトロンGTは、0-100km/h加速3.3秒、最高出力646ps、航続距離約380km、急速充電機能を備えている。アウディ・スポーツのポテンシャルを垣間見せるモデルと言えるだろう。R8の後継モデルは、この数値を上回るだけでなく、サーキット走行に十分なパワーと航続距離を持つ必要がある。そのためには、より高密度のバッテリーを搭載することになると思われる。

グラムスは、次のように語っている。

「電動モデルでRSの『愛』を生み出すことが可能であることは、すでに証明されています。eトロンGTでは、販売の60%がRSです」

「わたし達は、内燃エンジンの世界でやっているように、クルマを差別化したいのです。お客様は、デザイン、ボディワーク、シャシー、パフォーマンスなど、他のモデルとの差別化を求めています。RS eトロンGTは、ライバルのひしめく中で、(EVの)先駆者となりました」

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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