ガンディーニの傑作スーパーカー ランボルギーニ・カウンタック 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2022.10.01 07:06  更新 : 2022.10.17 09:39

元祖スーパーカーの1台、カウンタック。HVの第2世代が登場した今、再び価値を高める初代を英国編集部がご紹介します。

車内は狭いものの本物のドライバーズカー

ランボルギーニカウンタックは、仰向けのドライビングポジションで豪快に走る、本物のドライバーズ・スーパーカーだといえる。生産初期に当たる1980年までのモデルは特に、180cmを超える身長のドライバーには車内が窮屈だけれど。

LP400やLP400Sでは、4.0LのV型12気筒エンジンは回転数の上昇とともにパワーを高めていく。後期に登場したLP500や5000は排気量が増やされ、幅広いトルクバンドで扱いやすい。良好な状態を保っていれば、シルクのように滑らかに吹け上がる。

ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)

エンジンオイルの油圧は、5barから6barが正常値。アイドリング時や低速での走行時に圧力が低下することがあるが、異常ではない。V12エンジン自体は堅牢で、内部のベアリング交換が必要になる場合は珍しい。

ドライバーのすぐ横に位置する5速MTのシフトフィールは、非常にタイト。距離が近いだけあって走行中のノイズは大きいものの、過度に唸るような響きなら、1度専門家に確認してもらった方が良いだろう。

エンジンからのノイズも大きく、100km/h前後になると車内での会話が難しくなる。とはいえ、聞き惚れるような音響だからクルマ好きなら不快ではないはず。

多くは足まわりに何らかの整備が必要

状態が良ければサスペンションは引き締まり、ステアリングにはダイレクト感がある。想像以上に操縦性が優れると感じるはず。

ただし、サスペンションのボールジョイントは、ゴム製ブッシュより劣化が早い。ランボルギーニの純正部品は寿命が短く、多くは何らかの整備が必要と考えていい。英国のカレラスポーツ社が供給するボールジョイントは、航空機仕様で強度に勝るという。

ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)

ホイールは、初期型でフロントが7.5J、リアが9Jの14インチ。タイヤは205/70に215/70と、控えめな太さだった。400Sでは8.5Jと12Jの15インチになり、205/50と345/35へサイズアップ。クアトロバルボーレではフロントが225/50になる。

大パワーを発生するV型12気筒エンジンで走るスーパーカーだから、操作系はすべて重い。ステアリングホイールだけでなく、右ハンドル車の場合はクラッチペダルも重い。EZ社が提供するパワーステアリングが後付けされている例もあるようだ。

右ハンドル車はペダルが左へオフセットしているため、足のサイズは小さい方が運転しやすい。斜め後方の視界は極めて悪く、高速道路の合流などでは充分な確認が必要になる。

クーラーは良く効く。ヒーターと別ユニットなため、顔は涼しく足もとは暖かくということも可能。窓の曇りも取りやすい。当時のスーパーカーとしては、例外的に機能的だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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