まだ気づいていない? フェラーリ初SUV「真の価値」 遅れて登場の「必然性」 考察

公開 : 2022.09.14 19:45

後出しは是、「今」という必然性

スポーツカーメーカーとして初のクロスオーバーSUVであるポルシェカイエン

現代では911を凌ぐほどの知名度を誇るこのクルマは、窮地に陥っていた会社を救った救世主としても知られている。

フェラーリ・プロサングエは電動化を見据えた1台と筆者
フェラーリプロサングエは電動化を見据えた1台と筆者    フェラーリ

その点でいうとプロサングエはメジャーなスポーツカーブランドが初めて送り出すSUVとして、おそらく最後発の1台となる。

早出し競争では「ビリ」という結果だが、それでもメーカーが悠然としていられて、ファンが熱狂できるのは、ブランドの神通力の他に、前述の機構的な独自性があるからだろう。

そしてアクティブサスペンションやスタビリティコントロールをはじめとする、SUVの重心の高さを相殺してくれる賢い電制が普及した今こそ、フェラーリらしい動的質感を込めたSUVモデルをリリースできる最適なタイミングだったともいえるのである。

それと同時にフェラーリはこのタイミングでプロサングエを出す必然性があったようにも思う。

というのは、SF90ストラダーレや296GTBといった電動化の実績があったとしても、その次の作品としていきなり背の高いピュアEVをリリースするのはギャップが大きすぎるからである。

伝家の宝刀であるV12エンジンを盾にしつつ、フェラーリといえど電動化に向け具体的に踏み出さなければならない。

プロサングエはメーカーの目論見とフェラーリ・ファンの思惑が交差する、絶妙な落としどころであるように思う。

フェラーリ・プロサングエのスペック

全長:4973mm
全幅:2028mm
全高:1589mm
ホイールベース:3018mm
車両重量:2033kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc
最高出力:722ps/7750rpm
最大トルク:73.0kg-m/6250rpm
ギアボックス:8速F1 DCT

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ    フェラーリ

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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