熱々のスポーツマインド トヨタGRカローラへ試乗 304psの1.6L 3発ターボ+四輪駆動

公開 : 2022.09.18 08:25

サスペンションや四駆システムは専用設定

サスペンションは、フロントがストラット式でリアがマルチリンク式。こちらもGRヤリスの改良版となる。スプリングとダンパーはGRカローラの専用品だが、モリゾウではモノチューブ・ダンパーへアップグレードされるそうだ。

トヨタがGR-FOUR(GRフォー)と呼ぶ四輪駆動システムは、ノーマル・モード時に前後60:40の割合で駆動力を分配。スポーツ・モード時は30:70へ切り替わり、リアタイヤが主軸になる。ダイヤル上のボタンを押すと、50:50の割合も選べる。

トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)
トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)

インテリアはノーマルのカローラと大きな違いはない。スポーツシートとステアリングホイール、シフトレバーが違う程度といっていい。といっても、不満に感じることはないと思う。

筆者が惜しいと感じたのが、高めの座面。ボディ構造を再設計し、衝突試験を経た再認証を得なければ、シートの位置を低くすることは難しいのだろう。

エンジンを始動させると、お手頃なヤリスにも似た3気筒らしいノイズが聞こえてくる。ステアリングホイールやペダルなど、操作系の重み付けは一貫していて好印象だ。

エグゾーストも3本出しの専用品で、日常的な環境で運転している限り、中央の大きなマフラーは機能しない。アクセルペダルを蹴飛ばし4500rpmを超えた辺りからバルブが開き、3本目が働き出す。そこで放たれる和音は、若干刺激に足りないようだが。

サーキットでは水を得た魚

GRカローラは、すこぶる速い。3000rpm以下での反応の限り、0-100km/h加速5.0秒以下というダッシュ力に疑問を抱く。しかし、人影のない郊外の道で引っ張れば、ガズー・レーシングの主張へ納得できる。全力を試すならサーキットが必要そうだ。

GRヤリスと同様に、グリップやトラクションは驚異的。そこから、雄大な操る自信がドライバーに生まれる。

トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)
トヨタGRカローラ・モリゾウエディション(北米仕様)

コーナリングスピードの高さにも息を呑む。ただし、車重が200kg軽いGRヤリスほど敏捷には感じられない。自在に調整していけるような身軽さも及ばない。

これは、ひと回り大きいGRカローラへ、ガズー・レーシングの技術者が異なる特性を与えたため。GRヤリスにはない、高次元の安定性を求めたという。

筆者としては、もう少し公道の速度域でクルマとの一体感や自由度を高めて欲しかったと思う。サーキットでは、GRカローラは水を得た魚のように暴れまわれるだけに。

ハイスピードでベストラインを縫うようなスタイルでも、ブレーキを引きずりながらターンインし、そのままドリフト状態で脱出するようなWRCスタイルでも、GRカローラは意欲的に応えてくれる。サイドブレーキも走行中に使えるよう、手引きのレバーだ。

シャシーはドライバーの味方。ひたすら運転を楽しませてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事