ドアなし窓なしの軽量バギー 個性的なルーマニア発コンセプト 「マニフェスト」公開

公開 : 2022.09.16 18:45

コストと環境負荷を抑える「軽量化」

パワートレインは特定されておらず、ガソリン、LPG、ハイブリッド、BEVなど、あらゆる動力源に対応する「マルチフューエル」であるとゴーヴィンは説明する。非常に軽量で、最も重いドライブトレインであるBEV仕様における重量は720kgとされている。

ダチアによると、マニフェストは軽量かつ持続可能な材料で構成されており、中でもシャシーとボディの一部には、新しいタイプの素材が使われているという。これは「スタークル」と呼ばれるプラスチック素材で、20%の再生ポリプロピレンと加工済みポリプロピレンがパネルに斑点状の外観を与えているのが特徴的。また、今後の市販モデルでは、エクステリアに使用される予定だ。

ダチア・マニフェスト・コンセプト
ダチア・マニフェスト・コンセプト    AUTOCAR

ダチアにとって、こうした軽量化は価格を抑えるために必要な「鍵」であり、今後も採用し続ける戦略である。クルマが軽ければ軽いほど、排出ガスが少なくなり、必要な装備だけを搭載するためコストを低く抑えることができる。

「これは単なるPRではありません」と、ダチアのセールス&マーケティング責任者、グザヴィエ・マルティネは言う。「軽さとは何かということを示したものです。(MPVの)ダチア・ジョガーはライバル車より300kg軽いのです。同じ目的(ジョガーの場合は7人を乗せること)でも、軽いクルマなら、大きなエンジンも電動化も必要ありません。CO2排出量はわずか119g/kmで、価格はライバル車の半分。このマニフェストも、ダチア車がいかに違いを生み出せるかを示す一例です」

他にも、ダッシュボードにコルクやゴムを使用し、物を固定できるようにするなど、さまざまなところで持続可能な素材が使われている。クロームやレザーは使用していない。

ボディ後部には取り外し可能なバッテリーパックが搭載され、電力を外部供給することができる。ヘッドライトは1灯だけだが、これも取り外して懐中電灯として使える。

ダチアのプロダクト・パフォーマンス・ディレクターであるライオネル・ジャイレットは、次のように語っている。

「当社は(現行モデルや将来の)市販車以外にも、お客様のニーズやライフスタイルにさらに近い革新的な機能の開発に取り組んでいます。マニフェスト・コンセプトは、新しいアイデアを試し、モックアップを作るための『ラボ』です。今日ご覧いただける機能は、探求を続けることで進化していくでしょう」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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