日本でも2023年に販売開始 BYD アット3へ試乗 バッテリー60.5kWh 航続420km
公開 : 2022.09.17 11:55
バッテリーは60.5kWh 航続距離は420km
停止状態からの加速は充分に活発で、ステアリングホイールは反応が素早いものの、感触は薄かった。サスペンションは負荷が掛かると硬さを感じるものの、路面の不正をなだめることはできていた。
ドライバーズカーと呼べるたぐいではない。最高出力も203psと、BEVでは控えめな方だ。とはいえ、低い速度域での扱いやすさを重視する、都市部のユーザーには充分な訴求力を備えていると感じた。
駆動用バッテリーの容量は60.5kWhで、航続距離はWLTP値で420kmが主張される。急速充電能力は88kWまで対応する。フォルクスワーゲンやキアといった、BEVで先行するメーカーとも渡り合える内容といえる。
車内は広々としていて、荷室は440Lの大きさがある。ファミリー層の需要にも応えられる。
BYD独自開発だというインフォテインメント・システムは、タッチモニターの表示が鮮明で、メニュー画面はグラフィカルで好印象。ソフトウェア自体も直感的な設計で、操作しやすい。
運転中でも頻繁に操作したくなる機能に対しては、実際に押せるハードボタンも残されている。BYDの判断は賢明だ。
第一印象は間違いなく悪くない。約6万人といわれる従業員を抱える巨大メーカーが、これほど迅速に確信を持って行動へ移すことに、関心せずにはいられない。
激しい競争を戦えるだけの実力は備える
アット3の完成度を知って少々残念だったのが、上級サルーンのハンに右ハンドル車が設定されないという事実。SUVのタンも同様だという。
Cセグメントに属するBEVハッチバックはトレンドに乗ったモデルといえ、販売台数を稼ぐことはできるだろう。それと同時に、利益率の高いハイエンドモデルがブランド・イメージを牽引してくれるとも思うのだが。
とはいえ、アット3がBYDの新時代を切り拓くことは間違いない。最新世代のハードウェアを採用し、技術力や機能性、動力性能といった点では、既存モデルへ並ぶ実力は備えているようだ。
重要な鍵となるのが販売価格だ。BYD側は、過度に安く設定すると搭載された技術的な価値を下げる可能性がある、と話していた。かといって高すぎれば、新ブランドへ興味を抱いた層の気持ちを遠ざけてしまうだろう。
スペック的には、ライバルと比べても引けを取らない内容を得ている。一風変わったスタイリングは、個性的でもある。各メーカーからBEVが揃うなかで、激しい競争を戦えるだけの実力は秘めていると考えていい。
具体的な評価は、実際の英国仕様車を公道で運転してから与えたい。次の試乗がとても楽しみになったことは事実だ。
BYD アット3(欧州仕様)のスペック
英国価格:未定
全長:4455mm
全幅:1875mm
全高:1615mm
最高速度:161km/h
0-100km/h加速:7.3秒
航続距離:420km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:1680kg
パワートレイン:電気モーター
バッテリー:64.5kWh
急速充電能力:88kW
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:−