アナログな513psのスーパーカー ノーブルM500へ試乗 スペースフレームに6速MT 後編

公開 : 2022.09.27 08:26

英国の小規模スーパーカー・メーカー、ノーブルが最終仕上げを急ぐM500。英国編集部が公道で試作車に試乗しました。

反応の良いV6エンジン 優れた乗り心地

ノーブルM500のステアリングコラム右側にあるシリンダーへキーを挿し、ゆっくり回すと、3.5L V6エンジンが目を覚ます。コンベンショナルでシンプルで、何ら不満はない。

アイドリング中でもエンジンは騒がしく、力強い雰囲気を漂わせる。低回転域からレスポンシブで、回転数の調整もしやすい。クラッチの接続も難しいところはない。

ノーブルM500 プロトタイプ(英国仕様)
ノーブルM500 プロトタイプ(英国仕様)

シフトレバーの重み付けは、軽すぎず重すぎず。ストロークは短く、感触はかなり良い。美しく仕上げられた金属製のゲートへ、吸い込まれるようにスライドする。プロトタイプだからか、角の仕上げ加工は充分ではなかった。

ノーブルの工場の敷地から、公道へM500を進める。ステアリングホイールは低い速度域でも充分に軽い。

走り出しからとても滑らか。アイバッハ社製のスプリングと、ビルシュタイン社製のダンパーというサスペンションの構成は、ノーブルM600と変わらない。乗り心地は素晴らしく、姿勢制御も見事だ。時代遅れなんて言葉は当てはまらない。

ステアリングラックは新しい。アウディA4由来のアイテムで、ロックトゥロックは2.6回転。M500が秘める見事な走りを、巧みに引き出してくれる。

レスポンスはマイルドで、伝わってくる感触も良い。カーブへ侵入し、負荷が高まるとともに重さも増していく。フロントタイヤの状況を手のひらへ伝えつつ、不必要なキックバックなどはない。

50km/h前後でアシスト量が大きく落ち込む様子だったが、ノーブル側もまだ調整が済んでいないことを認めていた。小さな問題だといえる。

ドライブトレインがドライバーの味方

レスターシャー州の南部にある、ブランティングソープ試験場を今回は目指す。近年はAUTOCARで利用することはなくなったが、かつて滑走路だったアスファルトを今でも自動車メーカーがテスト走行で走り回っている。

試乗しているプロトタイプのM500は、1600kmほどの公道試験を終えたばかり。ブランティングソープ試験場を走るのは、今回が初めてらしい。

ノーブルM500 プロトタイプ(英国仕様)
ノーブルM500 プロトタイプ(英国仕様)

クルマの状態を監視する、ノーブルの技術者と簡単に確認を済ませる。メインストレートで全開にして良いという。

最終的な車重より100kg以上は重く、M600よりパワーは落ちているものの、加速力は充分鋭い。V6ツインターボ・エンジンは、3500rpmを過ぎた辺りで明確にパワーを高める。7000rpmのリミッターまで豪快に吹け上がる。

シフトフィールも安定性も素晴らしい。直線の終わりが見え、ブレーキペダルへ足をかける直前には240km/hを超えていた。

ペダルレイアウトは完璧で、エンジンは意図した通りに操れる。ブレーキングしながら回転数を調整し、シフトダウンという一連の動作が自然に行える。ドライブトレインがドライバーの味方だと筆者が実感したのは、久しぶりだ。

コーナリングも自然な機敏さだと感じたが、リミテッドスリップ・デフの搭載でどう変化するのか興味深い。M600譲りのサスペンションは、落ち着いたコーナリングスタンスを実現させていた。ボディロール量は制御され、いい塩梅だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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