世界のワイルドすぎるクルマ 43選 後編 平凡からかけ離れた異端児たち
公開 : 2022.09.24 18:25
ルノー5ターボ
前述のように、MGメトロ6R4とプジョー205 T16は、普通のハッチバックを極限まで発展させたものである。この両者に先駆けて1980年に登場したのが、ルノー5ターボだ。標準のルノー5とは対照的に、1.4Lのターボエンジンを乗員の後ろに搭載し、後輪を駆動するものであった。
世界ラリー選手権では4勝を挙げたが、アウディ・クワトロに代表される四輪駆動化の波にもまれ、苦戦を強いられた。アルピーヌ/ゴルディーニ・ターボやGTターボなどは前輪駆動で、外観こそよく似ているが中身は大きく異なる。ルノーの次のミドエンジン・ハッチバックはクリオV6であった。
タルボ・ラーゴT150 SSティアドロップクーペ
20世紀半ば、もし自分のクルマに最高に素晴らしいボディを載せたかったら、パリを拠点に2人のイタリア人が経営するコーチビルド会社、フィゴーニ・エ・ファラッシと連絡を取ることをお勧めする。
フィゴーニ・エ・ファラッシの作品は、ほとんどすべて、本稿で紹介してもいいくらいだ。今回ピックアップするのは、タルボ・ラーゴT150をベースにした1938年のティアドロップクーペ。ジュゼッペ・フィゴーニ(1892-1978)が好んだエレガントで流れるような曲線を含む、驚くべきデザインだ。美しいかどうかは好みの問題だが、人目を引くことに異論はないだろう。
ヴォワザンC25エアロダイン
航空業界のパイオニア、ガブリエル・ヴォワザン(1880-1973)は、空飛ぶ機械に熱狂しており、自動車会社を「アヴィオン・ヴォワザン」(英語ではヴォワザン・エアロプレーン)と命名したほどだった。
彼の作品にはオーソドックスなデザインもいくつかあるが、1923年に発表された驚異的なレーサー、C6ラボラトワールをはじめ、エアロダイナミクスに魅せられた非常に奇抜なデザインも多かった。
その要素は、ヴォワザンC25エアロダインにも顕著に表れている。エレガントでありながら、シュッとした愛らしさがある。ラジエターグリルとフロントフェンダーをつなぐポリッシュドメタルのバーは、ヴォワザンの他のモデルにも採用されている。