VWと共同開発の7席ミニバン フォード・グランドトルネオ・コネクトへ試乗 走りは乗用車的

公開 : 2022.10.04 08:25

VWとの共同で生まれたミニバン、グランドトルネオ。ユーザーが求める内容を網羅すると英国編集部は評価します。

フォルクスワーゲンとの共同開発

フォードの新しいミニバン、トルネオ・コネクトは、大人しい見た目以上に重要なモデルといえる。商用バンから派生したような気取らないデザインながら、自動車界の巨人、フォードとフォルクスワーゲンが手を組んだ初めての量産車だからだ。

数年後には英国のハッチバックの定番、フォーカスとフィエスタの後継モデルとなる、新しいバッテリーEV(BEV)もこの協力関係で誕生する予定。その前触れとして、トルネオの完成度は背負うものが大きい。

フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)
フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)

欧州ではSUV人気が強く、トルネオ・コネクトのようなミニバンは減少傾向にある。現在の英国市場では、直接的なライバルに挙げられるのはフォルクスワーゲン・キャディと、高級ブランドのメルセデス・ベンツTクラス程度。

ルノーは乗用車仕様のカングーを英国で売らなくなり、シトロエンベルランゴプジョー・リフターといったモデルも存在するが、こちらはBEVのみ。内燃エンジン版は選べない。

新しいトルネオには、2755mmと2970mmの2種類のホイールベースが用意されている。シートレイアウトは2列の5名か3列の7名かを選択できる。短い方がトルネオ、長い方がグランドトルネオを名乗る。

エンジンは最高出力113psを発揮する1.5Lガソリンターボと、121psを発揮する2.0Lディーゼルターボの2種類。トランスミッションは6速マニュアルか7速オートマティックが選択可能だ。

しっかり差別化されたフロントマスク

今回の試乗車はロングホイールベース版の7シーターで、2.0Lディーゼルの7速AT。グランドトルネオのアクティブ・グレードだった。ほかに、チタニウムとスポーツという2種類のトリムグレードが用意される。

フォードはトルネオへフォルクスワーゲンとは異なるフロントマスクを与えており、差別化はライバルより果たされている。エンブレムを張り替えただけではない。上級ブランドとは異なり、強く気にするユーザーは少ないとは思うが。

フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)
フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)

しかし、ダッシュボードはフォルクスワーゲンの色が濃い。エアコンの操作系が、実際に押せるハードボタンではなくタッチセンサー式な部分は、フォードでも改めるべき点に数えられる。イルミネーションが内蔵されず、昼間以外はそもそも見にくい。

今回の試乗では夜も運転したのだが、送風の強さを調整しようとタッチパネルを手探りしていて、レーンキープアシストのお世話になってしまった。全幅は1835mmと、さほどワイドではないのだけれど。

インフォテインメント・システム自体も、少々複雑で扱いにくい。筆者は試乗中、殆どスマートフォンと連携するアップル・カープレイを利用していた。

そんなダッシュボード以外、インテリアで褒めるべきところは多い。フロントガラスはワイドで、サイドガラスも背が高く、運転席からの視界は優秀。全高は1820mmもあり、車内には開放的な雰囲気が漂っている。

記事に関わった人々

  • クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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