VWと共同開発の7席ミニバン フォード・グランドトルネオ・コネクトへ試乗 走りは乗用車的

公開 : 2022.10.04 08:25

乗用車ライクなドライブフィール

助手席が独立したフロント側の車内は、大人に不足ない空間がある。2列目にも、わがままをいわなければ大人3名が問題なく乗れる。3列目は流石に狭いものの、170cmくらいの身長なら嫌がられないだろう。

両側のリアドアはスライド式で、開口部は大きい。2列目シートはレバーで簡単にスライドでき、3列目へのアクセスは容易。商用バンのように広い荷室が必要な場合は、3列目シートをクルマから降ろすこともできる。

フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)
フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)

小物入れも前後シートの各所に用意されている。ゴミ箱も設けられている。

トルネオが基礎骨格としているのは、フォルクスワーゲン・グループの汎用性の高いMQBプラットフォーム。乗用車の多くも採用するもので、商用バンのトランジットから派生していた先代とは異なる。

そのため、ドライブフィールもずっと乗用車ライクになった。先代も乗り心地や操舵性などに優れていたが、最新型へ乗り換えて不満を抱くドライバーはいないはず。

乗り心地は全般的に落ち着いていて快適。路面がよほど荒れていない限り、乗員が揺さぶられることはない。ただし、ドライバーだけでの走行中は振動も大きくなるが。

コーナリング時は安心感が伴う。パワーが限定的で、そもそもアンダーステアには転じにくい。

先代は、「フィエスタやフォーカスに迫るほどステアリングはリニアで正確。太いトルクで直進時の安定性にも優れる」。と評価されていた。新型はそこまで突出していないものの、悪くもない。

多くのユーザーが必要とするすべて

英国価格は少々お高め。10.0インチ・タッチモニターの獲得やふんだんな運転支援システムが実装されているとはいえ、約3万ポンド(約495万円)は喜びにくいと思う。

筆者の知人はタクシー運転手をしているが、この価格を聞いて「本当に?それならメルセデス・ベンツTクラスが買えますね」。とコメントしていた。

フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)
フォード・グランドトルネオ・コネクト(英国仕様)

フォルクスワーゲン・グループのミニバン、ダチア・ジョガーなら、1万6645ポンド(約275万円)から購入できることも事実。だが、最近は全般的にクルマの価格が上昇している。平均的な乗用車でも4万ポンド(約660万円)前後するから、妥当といっていい。

アフターマーケットには、車いす用のスロープも用意されている。新しいフォード・トルネオには、多くのユーザーが必要とするもので、欠けているモノが思い浮かばない。

フォード・グランドトルネオ・コネクト 2.0エコブルー・アクティブ FWD(英国仕様)のスペック

英国価格:2万9661ポンド(約489万円)
全長:4825mm
全幅:1835mm
全高:1820mm
最高速度:186km/h
0-100km/h加速:12.0秒
燃費:18.7km/L
CO2排出量:140g/km
車両重量:1700kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:121ps
最大トルク:32.5kg-m
ギアボックス:7速オートマティック

記事に関わった人々

  • クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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