ボルボ、次世代EV「EX90」 11月9日発表予定 新たなフラッグシップSUV

公開 : 2022.09.23 06:05

ボルボは新型の電動SUV「EX90」を11月に公開すると発表しました。XC90と並ぶフラッグシップモデルで、ボルボの次世代ラインナップを牽引します。

XC90の後継とともに販売

ボルボは、2023年に発売予定の新型電動SUVの名称を「EX90」とすることを明らかにした。人気のXC90に並ぶフラッグシップモデルとされ、11月9日に実車が公開される。

新型EX90は、新しいSPA2プラットフォームをボルボの市販車として初めて使用し、先進の安全技術が装備される。欧州では、XC90の後継モデルとともに販売される予定。

ボルボはEV専用モデルとして、XC90に相当する大型SUVを投入する。(画像は予想レンダリングCG)
ボルボはEV専用モデルとして、XC90に相当する大型SUVを投入する。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

ボルボは2025年から年間60万台のEVを販売する計画で、2030年までに完全なEVメーカーとなることを目指している。EX90は、ブランドの象徴として非常に重要なモデルとなるだろう。

2021年に公開された「コンセプト・リチャージ」の市販版であり、近年高級志向のメーカーの多くが投入しているフルサイズ電動SUVとなる。既存のXC40リチャージとC40リチャージは、内燃機関のXC40と同じCMAプラットフォームを使用するコンパクトSUVだ。

コンセプト・リチャージで見られたデザインは、市販化に伴いトーンダウンするはずだ。例えば、4つの独立シートなどは採用されないだろう。しかし、スケートボードスタイルの構造により、広く柔軟性の高い室内空間を実現する見通しで、コンセプトのデザインを手掛けたロビン・ペイジは、これを「スカンジナビアのリビングルーム感覚」と表現している。

そのため、EX90では物理的な操作系を廃止し、シンプルな運転環境を目指している。ほとんどの車載機能は、XC40リチャージで初めて採用された、グーグル開発のソフトウェアを内蔵したセンタータッチスクリーンで操作することになる。

ボルボは「Less is more(引き算の美学)」のアプローチによって、広さと実用性を重視しながら、EV時代における新しいミニマル・デザインに取り組んでいる。

一方、XC90の後継モデルにも、EX90と同じSPA2プラットフォームが採用される。SPA2は現行のプラットフォームを発展させたもので、内燃機関およびEVの設計に対応している。

先進の安全技術にも注目

新型EX90の重要な特徴として、最先端の安全システムが標準装備されるとボルボは述べている。車両の外側と内側に「保護シールド」が装着されるほか、ドライバーが注意散漫になっていたり、疲れていたりするときにレーダーとカメラを使って運転を支援するという。

車両の周囲の環境をマッピングするLiDARシステムを搭載し、障害物や危険を避けるために速度を落としたり、ステアリング操作に介入したりすることができる。ボルボは、ドライバーの注意力や健康状態を監視する車内カメラと組み合わせることで、死亡や重傷のリスクを最大20%低減できるとしている。

安全性の高さを打ち出すボルボは、先進の運転支援システム、ひいては自動運転技術に注力している。
安全性の高さを打ち出すボルボは、先進の運転支援システム、ひいては自動運転技術に注力している。

ボルボの安全システム開発に携わるミカエル・リュンオーストは、「誰かが常に道路を監視する必要がありますが、ドライバーができない場合もあります」と語る。

「それは自然なことです。そのため、自動車が常に道路を見る(必要なときに制御する)することにしました」

リュンオーストはAUTOCARに対し、車載コンピューターもドライバーを理解し、運転の傾向を学習することで、「人間の注意が他所に向くタイミングを理解する」ことができるようになると述べている。

ボルボのシニア・セーフティ・リサーチ責任者であるエマ・ティヴェステンは、これらの機能はドライバーの任意でオフにできることを認めたが、それに対して警告を発している。

「わたし達は、自動車がこれ以上事故を起こさないようになるまで、革新を続けていきます。すべては、より多くの命を守るためです。EX90は、ボルボ・カーズの新時代の幕開けであり、当社の安全性、品質、革新を未来に引き継ぐものです」

こうした新技術の導入により、当然ながらコスト上昇が見込まれる。EX90は、現行のXC90の最上級モデルを上回る価格になると予想される。ボルボは、価格や発売日などの詳細について、11月9日に発表することを明らかにした。

2代目となる現行XC90は、発売7年目にしても一貫して好調な売れ行きを維持している。2021年1~10月の間で、XC90はボルボの世界販売の約6.5%を占め、XC60とXC40に次ぐ第3位のセールスを見せている。

最近の特許出願によると、EX90は、ステーションワゴンを思わせるコンセプトモデルよりも現行のXC90に近い外観になるようだ。ボルボの前CEO、ホーカン・サミュエルソンはAUTOCARに対し、SUV人気を受けてV60V90といった従来のワゴンタイプを徐々に縮小していくと語っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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