世界一有名な自動車広告スローガン 14選 心に刺さる名フレーズ特集

公開 : 2022.10.01 18:05

自動車メーカーが掲げるスローガンには、人々の心を動かすような素晴らしいフレーズが数多く存在します。アウディ、BMW、フォルクスワーゲンなど各社の最も有名なスローガンを紹介します。

人々の心に残る名フレーズ

これまで存在したほぼすべての自動車メーカーは、自社をアピールするためにさまざまな「スローガン」を掲げてきた。キャッチフレーズやキャッチコピーなど呼び方はさまざまだが、あまりに有名なため日常的に使われるようになったものも少なくない。

スローガンは時代によって変化するのが一般的だが、遠い昔に作られたものが、今でも使われ続けているケースもある。そこで、最も有名なスローガンにまつわる物語と、その企業が現在使っているスローガンを見ていこう。

歴史的に有名なスローガンと、現在のスローガンを比べてみる。
歴史的に有名なスローガンと、現在のスローガンを比べてみる。

アウディ:Vorsprung durch Technik(1)

80年代初頭、アウディはBMWメルセデス・ベンツのライバルというよりも、フォルクスワーゲンの高級版と広く見なされていた。しかし、クワトロのようなエキサイティングな新型車が登場すると、そうもいかなくなってくる。英国の広告代理店バートル・ボーグル・ヘガティ(BBH)は、そのイメージチェンジを任された。

1982年、BBHのジョン・ヘガティ氏は、アウディのインゴルシュタット工場を訪れ、インスピレーションを求めた。彼は、工場の壁に貼られた色あせたポスターの「Vorsprung durch Technik」という文言に目を留める。これは、「技術による先進」を意味し、多くの消費者がドイツ車に憧れを抱いていたことを文字どおり伝えるものだ。

アウディ:Vorsprung durch Technik
アウディ:Vorsprung durch Technik

アウディ:Vorsprung durch Technik(2)

ヘガティ氏は後に、「あれほどまでに人気が出るとは思ってもみなかった」と回想している。「すべてを語りながら、実は何も語っていないのです。でも、人々の想像力をかきたてるものでした」

このように、「文字通りのわかりやすさを追求する」というコミュニケーションにおける基本原則は、見事に破られたのである。テレビCMで、ジェフリー・パーマーという「退役軍人」の声を使ったのも、天才的な判断であった。

アウディ:Vorsprung durch Technik
アウディ:Vorsprung durch Technik

このフレーズは、米国、英国、フランス、カナダなど非ドイツ語圏の国々でも使われるようになった。

アウディの現在

クルマの高性能化が進むにつれ、今日のアウディは、40年前に憧れていた高級車ブランドとして大いに認知されている。最近、アウディは「For the epic or everyday(壮大なスケールから日常まで)」というような新しいフレーズを使うこともあるが、いずれも「Vorsprung durch Technik」の足元にも及ばないだろう。

アウディは2010年、このスローガンを商標登録することに成功した(登録にあたり欧州で法廷闘争も起きたが、その話は割愛)。また、アウディは最近、欧州市場で一部モデルの上級グレードに「Vorsprung」の名を使っている。

アウディは今も「Vorsprung durch Technik」を掲げ続けている。
アウディは今も「Vorsprung durch Technik」を掲げ続けている。

どの業界でも、40年前の広告スローガンが今も現役で使われていることは少ないが、「Vorsprung durch Technik」は時代を超えて受け継がれているようである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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