世界一有名な自動車広告スローガン 14選 心に刺さる名フレーズ特集
公開 : 2022.10.01 18:05
ジャガーの現在
ジャガーは1984年にBLから脱却して独立を果たすが、1989年にフォードに吸収された。ジャガーは現在、公式には「Grace, Space, Pace」という言葉を使用していないが、これに由来する車名を新しいSUVシリーズに与えたことで、英国では称賛を集めた。
2015年にFペイス(F-Pace)を発表したデザインチーフのイアン・カラム氏は、ジャガーは常にスタイルとスピードを追求してきた一方で、スペース(広さ)が欠けていたことを認め、同社初のSUVでそれを叶えることにしたと語っている。
昨今のジャガーの主要スローガンは「The Art of Performance」であり、とても風通しの良いものではあるが、50年代のオリジナルには及ばないだろう。
ランドローバー:The best 4 x 4 x far(間違いなく最高の4×4)
ランドローバーは、どこにでも行けて何でもできることを常に謳ってきた。創業当初は「The go anywhere vehicle(どこでも行けるクルマ)」「Britain’s most versatile vehicle(英国で最も多用途なクルマ)」といったスローガンを掲げていた。
1986年、ランドローバーはさらなる高みを目指す。ウェールズ中部にある高さ70mのダムを、ランドローバーがほぼ垂直によじ登る様子を撮影。50年代の名作戦争映画『暁の出撃(原題:The Dambusters)』の音楽と『スタートレック』でおなじみパトリック・スチュワートのナレーションに乗せて、テレビCMとして放映したのだ。ここで使われたのが「The best 4 x 4 x far(間違いなく最高の4×4)」である。
これは、四輪駆動を示す「4×4(フォー・バイ・フォー)」と、「遥かに、群を抜いて」という意味の熟語「by far(バイ・ファー)」をかけたダジャレだ。
その約30年後、BBCの人気番組『Top Gear』のリチャード・ハモンドが、別のダムでこのCMの再現を試みた。チャレンジは見事に成功し、ハモンドは「テレビの魔法」と表現しているが、実はオリジナルのCMでは上部で巨大なウインチが使われていたのである。
ランドローバーの現在
「The best 4 x 4 x far」のスローガンは、今でも時々、ランドローバーの広告やプレゼンテーションで使われている。しかし、ランドローバーの主要スローガンは「Above & Beyond(はるか先へ)」であり、これはこれでいいのだが、筆者はやはり前者を好む。
1986年当時、ランドローバーに直接的なライバルはほとんどいなかったが、今ではフォルクスワーゲンからロールス・ロイスまで、世界中のほぼすべての自動車メーカーが何らかの形でSUVを製造している。クルマの電動化も着々と進む中、ランドローバーがこの先どのようにして存在感を発揮していくのか、注目したい。