フェラーリ初SUV「プロサングエ」は、4ドア4シーターGTに その価値と将来は? スペシャリスト上野和秀が検証

公開 : 2022.09.24 18:45

12気筒は正義 725馬力

デビュー前に、搭載されるエンジンは12気筒や、8気筒ターボ、はたまた296で使用されているV6 PHEVが積まれるのではと様々なうわさが飛び交っていた。

発表された資料を見るとそこには65°V12エンジンと記されていた。それもエンツォ・フェラーリに端を発するティーポ140系だったことが、フェラーリの意地ととれた。

ボンネット後方のアウトレットは、「F1マシン312T2のカウルにあるインテークを想起させる」と筆者。
ボンネット後方のアウトレットは、「F1マシン312T2のカウルにあるインテークを想起させる」と筆者。    AUTOCAR

筆者の予想では、ユーロ6規制をクリアできるうちは伝家の宝刀である12気筒NAエンジンを積み、規制の強化に合わせてダウンサイジングか電動化が行われると読んでいた。

フェラーリを象徴する12気筒エンジンを積むことにより、ライバルにない絶対的な付加価値を高められることにより、明確な差別化ができるという意味合いもある。

もちろんフェラーリらしく適正な前後重量バランスが得られるフロント・ミドシップとトランスアクスル・レイアウト、万全の操安アシスト・システムが採用されている。

プロサングエがV12を採用したという選択は、ブランドとして大正解だったのである。

プロサングエは買いか

日常にも使えるフェラーリが作った4ドア・4シーターのSUVということから、他社SUVを所有していたフェラーリ・オーナーのほとんどが乗り換えるはずだ。

イタリアでカスタマー向け発表会が行われる以前からオーダーが入り、そこに世界の上客分を加えると、これから注文しても納車まで2年以上の待ちは確実といえるだろう。

観音開きドアの4ドア4シーターにV12エンジンという答えを出したフェラーリ。プロサングエの登場で、このブランドの生産台数はどう変化していくのだろうか。
観音開きドアの4ドア4シーターにV12エンジンという答えを出したフェラーリ。プロサングエの登場で、このブランドの生産台数はどう変化していくのだろうか。    AUTOCAR

過去の流れを勘案すると、プロサングエの12気筒モデルは初期のみの生産となると思われる。生産終了時点でも希望者に行き渡らないため、将来的にプレミアムが付くのは確実だ。

それはさておき、プロサングエは家族で乗れる初のフェラーリだけに、売れることは間違いない。あわせてフェラーリに興味はあったが躊躇していた層も列に加わると思われる。

FF/GTCルッソでは消化不良だった2+2の4WD路線だったが、プロサングエでようやく完成の域に達した。だからこそプロサングエは買いの1台と断言できる。

ところで年々増大するフェラーリの生産台数だが、2021年は1万1155台だった。2022年は上半期で前年同期比23%増を記録。ここにプロサングエが加わると、今年は何台になるのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。

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