ポルシェ911 GT3xGT3カップ 9割の類似性を確かめる 抜群のシャシーバランス 前編

公開 : 2022.10.08 09:45

実はかなり近いアグレッシブな容姿

最高出力510psを発揮する6気筒エンジンのメンテナンス間隔は、ポルシェの推奨によると本域走行で100時間毎。これに従えば、2シーズンは大きなメンテナンスなしで走れることになる。

つまり、公道用のGT3で年に数回サーキット走行を楽しんだとしても、メカニズムへ与える影響は過度に心配する必要はない。驚くべき事実だといっていい。

ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)
ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)

サスペンションも同様。GT3カップのダンパーとスプリングは、サーキット前提のアイテムが組まれている。だが、ダブルウィッシュボーン式のフロントも、マルチリンク式のリアも、GT3のものとまったく変わらない。

2台で最も大きな違いといえるのが、トランスミッション。GT3では7速デュアルクラッチAT(PDK)が標準装備となるが、GT3カップには軽量な6速シーケンシャルMTが組まれている。

アグレッシブな容姿も、実はかなり近い。並べて駐車すると、エアロキットは公道用とサーキット用で大差はない。スワンネック状のアームで支えられたリアウイングも、大きく口を開いたフロントマスクも共通している。

GT3カップの方が、カタチをなぞりながら僅かにボリュームアップしていることも事実ではある。派手なスポンサーカラーで、少々認識しにくいけれど。

明らかな相違点は、カレラ4Sのボディから派生したGT3には備わらない、リアフェンダーに開けられたエアインテークだろう。GT3カップのボディは、911 ターボをベースとしている。目的は、エアフローをモータースポーツに最適化するためだという。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニール・ウィン

    Neil Winn

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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