2022年版 予算度外視で考える超高級車 ベスト10 世界一のラグジュアリー
公開 : 2022.10.02 18:05
9. アルピナB7
長いボンネットの先につけられたBMWのエンブレムに惑わされてはいけない。メルセデス・マイバッハのように、クルマに詳しい人でないとベースのモデルとの違いはわからないかもしれないが、アルピナのB7は、BMW 7シリーズよりずっと希少で特別な存在である。
最高出力608ps、最大トルク81.5kg-mを発揮する4.4L V8ツインターボは、BMWが製造していない「M7」の代替モデルとしても成立するほどの性能を秘めている。アルピナはパワートレインとサスペンションに大幅な改良を加え、従来の7シリーズよりも速いだけでなく、優れたハンドリングも実現している。
しかし、B7の真骨頂は、スポーツカー並みのボディコントロールと、従来の高級セダンとは一線を画す敏捷性を備えた、気品ある走りだ。この点ではベントレーのフライングスパーに勝るとも劣らない、非常に完成度の高いマシンである。
10. メルセデスAMG EQS 53
メルセデスAMGが初めて手がけた高級EVセダン。堂々としたクーペスタイルのルックスと、最高出力761psという強烈なデュアルモーターで注目を集めた。107.8kWhの大容量バッテリーを搭載し、航続距離は約560kmと、長距離移動に不可欠なスタミナも備えている。インテリアも非常に広々としており、ハイグレードな装備や機能という点ではSクラスには及ばないものの、超ワイドなハイパースクリーンが印象に残る(操作は簡単ではないが)。
期待に違わず、パフォーマンスは驚くべきもので、AUTOCAR英国編集部が試乗した658psの「下位」モデルでさえ、0-97km/h加速を3.6秒で駆け抜けた。高速走行時も丁寧に作られた快適性を感じることができ、ノイズは少なく、エアサスペンションにより乗り心地はしなやかだ。
しかし、不思議なことに、低速域での乗り心地は安定せず、サスペンションが都会の荒れた地形に応えきれていないのが伝わってくるため、高級感は損なわれてしまう。直線では驚異的に速く、コーナリングでは落ち着いているが、ドライバーへのフィードバックはほとんどなく、基本的に無愛想だ。
初期の高級EVとしては素晴らしいものが、Sクラスの特徴である華やかな静寂を実現するには至っていない。さらに、ステアリングも満足のいくレベルではないことを考えると、擬似スポーティなAMGモデルよりも「エントリーモデル」の450+の方が理にかなっていると言えるだろう。