深く満たされる上質 メルセデス・ベンツ EQS SUVへ試乗 GLSのEV版 航続511km
公開 : 2022.10.11 13:45
予測しやすい安定性に優れた操縦特性
運転は直感的にできる。市街地などの低速域ではステアリングホイールの操舵感は軽く、狭い交差点での取り回しを担保。郊外の道や高速道路でスピードが増すと徐々に重みが増し、正確なライン取りを叶える。手のひらへ伝わる感触は希薄だが。
駆動用バッテリーが低い位置に搭載されるため、重心位置も低い。常に予測しやすい、安定性に優れた操縦特性を実現している。
EQS SUVには後輪操舵システムも搭載され、リアタイヤは最大4.5度まで向きを変える。大きなボディとは裏腹に、低速域ではキビキビと向きを変える。オプションで10度まで拡張することも可能で、一層小回りが利くようになる。
四輪駆動の4マティックにより駆動力はタイヤ毎に細かく制御され、常にグリップ力を担保。路面を確実に掴み続けるマナーは心強い。
エアマティックと呼ばれるエアサスペンションには、セルフレベリング機能も備わり、前後左右の傾きを巧みに制御。加速時や旋回時でも、車内はフラットに保たれる。
唯一、冴えないと感じたのがブレーキペダルの感触。これはメルセデス・ベンツのEQモデルで共通しているのだが、踏み込んだ時の重さに一貫性が足りない。確実な制動力は得られるものの、踏みごたえの安定したフィーリングなら評価は一層高まるはず。
深く満たされる仕上がり 価格はeトロンの倍
高級電動SUVで、どれほどのオーナーがオフロードに挑むのかは疑問ながら、オプションでオフロード・モードというドライブモードを追加できる。選択すると車高が25mm高くなり、4マティックの特性が悪路向けに最適化される。
そのオプションには、オフロード・グラフィックス機能も備わる。ボンネット直下を写す映像を含む360度のカメラビューで、地上の状況を把握しやすくしてくれる。
ラグジュアリーSUVとして、メルセデス・ベンツEQS SUVは深く満たされる仕上がりにある。卓越した滑らかな走りだけでなく、パワートレインのレスポンスや、乗り心地の快適性や洗練性などには唸らされる。
パッケージングに優れ、実用性も高い。大きなサイズと優雅なデザインで、路上でのオシも効く。
ただし、価格はお安くない。確定前ながら、EQS SUV 450の英国価格は約13万ポンド(約2145万円)からが見込まれている。アウディeトロンの約2倍、BMW iXの5万ポンド(約825万円)増しになるようだ。
メルセデス・ベンツEQS SUV 450 4マティック(欧州仕様)のスペック
英国価格:13万ポンド(約2145万円/予想)
全長:5125mm
全幅:1959mm
全高:1718mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:6.0秒
航続距離:507-511km
電費:4.1-4.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2730kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:108.4kWh(実容量)
急速充電能力:200kW
最高出力:360ps
最大トルク:81.4kg-m
ギアボックス:−