廃車探しの旅 フランス編 心に残る28台のスクラップたち レストアできそうな個体も
公開 : 2022.10.08 06:05
シトロエン・アミ8
2CVと非常に近い関係にありながら、アミ8は最近までほとんど愛されてこなかった。何千台も乗り潰され、フラットツインエンジンのために部品を取られた後、鶏小屋にされたり、この個体のようにただ山の斜面に突き落とされたりしている。
アミ8はどちらかというと存在感が薄いため、クラシック・シトロエンとしては比較的安価ではあるが、この個体に乗るには大金がかかりそうだ。
シトロエンGSA
マルセイユの郊外にひっそりとたたずむこのシトロエンGSAは、機械的な部品から登録番号のような識別用のものまで剥ぎ取られている。どこかで盗まれ、分解され、捨てられた可能性が高い。また、GSとGSAは非常によく似ているが、プラスチック製のドアハンドルやリアハッチなどの特徴から、この個体が後者であることがわかる。
シトロエン・トラクシオン・アヴァン
1934年に発売されたトラクシオン・アヴァンは、フランス語の車名どおり前輪駆動で、しかもユニボディ構造の画期的なモデルだった。シトロエンがどのように前輪を駆動していたのか、この荒れ果てた個体を見れば仕組みがよくわかる。トランスミッションはエンジンの前に設置され、エンジンはファイアウォールを背にして搭載されていた。
DAFダフォディル
フランスで見かける廃車のほとんどがフランス車であるのは当然だ。イタリアの田舎ではイタリア車だろう。だから、1960年代にオランダで製造されたDAFダフォディル(Daffodil)がアルプスの小さな町で見つかるとは思ってもいなかった。
保存するには傷みが激しいし、部品取り車にもならないような状態だが、森の中でひっそりと佇むファミリーカーには不思議と心を奪われる。登録番号から、この個体は地元のものであり、元オーナーが車庫から引っ張り出した後、捨てられたものと思われる。
ダットサン・チェリー
ハッチに貼られたディーラーのステッカーは、この1980年代のダットサン・チェリーがあまり良い人生を送れなかったことを示している。新車で売られた町から川を挟んで反対側の森に捨てられていたのだ。
チェリーは比較的珍しいクルマであり、走行可能かどうかにかかわらず、フランスのこの地方で見た唯一の個体である。リアランプをはじめ、内部の部品が多数欠落しているので、少なくとももう1台はあるはずだ。
フィアット128
赤いストライプが目を引くこのフィアット128は特別仕様車か何かに思えたが、よく見るとアフターパーツに凝った人が所有していた平凡なセダンであることが分かる。フロントウイングにウインカー用の穴がないことから、1976年以降の第3シリーズであると考えられる。
この128は、川のそばにある盗難車の墓場の入り口付近に佇んでいた。数十年もの間、墓場を守り続けたのだろう。2010年代に入り、地元当局が1台ずつ撤去を始めたが、どうやらその網の目を潜り抜けたようだ。