いま運転の楽しいEVは? 11位と10位 マスタング・マッハE GT ミニ・エレクトリック 英編集部選TOP 11(1)
公開 : 2022.10.15 09:45
ドライバーズカーと呼べるEVは? 魂を震わせる感動は得られるのか? 英編集部が優れた11台を比較し2022年の頂点を選出しました。
もくじ
ー完璧なドライバーズカーはBEVでは難しい?
ー価格も踏まえて運転の楽しさを評価
ー11位 フォード・マスタング・マッハE GT 特徴的なタックイン
ーワイルドな走りは楽しめる
ー10位 ミニ・エレクトリック BEVとしては軽い車重
ー姿勢制御やシャシーの反応は良い
ーフォード・マスタング・マッハE GTとミニ・エレクトリック・クーパーのスペック
完璧なドライバーズカーはBEVでは難しい?
バッテリーEV(BEV)への変革が始まって数年。当初の選択肢は数える程度だったものの、近年はモデル数が増え多様化しつつある。
日産リーフが英国へ上陸したのは2011年だった。それから10年で、小型ハッチバックからハイパーカー、大型クロスオーバーにクラシックカーのエレクトロモッド(電動化)まで、幅広く展開されると想像した人はどれほどいただろう。
一方で、ドライバーの心を震わせるほど完璧な訴求力を備えたモデルは、BEVでは実現が難しいと考える人もいる。これまでのクルマ好きが積極的に選ぶような、ドライバーズカーだ。
AUTOCARでは既に、各メーカーがリリースする相当な数のBEVへ試乗し、評価してきた。運転の楽しさについても、つぶさに向き合ってきたと思う。
そこで今回は、これまでに試乗したBEVから運転が楽しいと感じられた上位11台を選出。ドライバーズカーという評価で、現時点での1番を決定することにした。
AUTOCARでは、その1年のベスト・ドライバーズカーを決める選手権を毎年開催している。市場環境が整い始めた2022年こそ、そのBEV版の第1回を開催するのに、ふさわしいといえるだろう。
価格も踏まえて運転の楽しさを評価
今回ノミネートした11台は、3万ポンド(約495万円)を切る小さなシティカーから、10万ポンド(約1650万円)を超えるスポーツモデルまで多彩。どれも優れた内容を得たBEVといえるが、価格も踏まえた運転の楽しさを、比較試乗を通じて評価した。
内燃エンジン・モデルと同じくポルシェが強いのか、お手頃なミニやフィアットも負けていないのか。はたまた、これまでにないメーカーが上位に割り込むのか。
比較試乗の舞台はグレートブリテン島の中東部に位置する、ヨークシャー地方のクロフト・サーキットと、周辺の一般道。英国編集部の4名が2日間に渡る審査で選び出した、2022年のベスト・ドライバーズEVとは?
まずは11位から4位までを、順にご紹介していこう。
11位 フォード・マスタング・マッハE GT 特徴的なタックイン
11位はフォード・マスタング。クルマ好きなら、マスタングという名前から特別なイメージが湧くと思う。BEVのクロスオーバーになっても、走りは充分に楽しめる。
クロフト・サーキットを、マスタング・マッハE GTで周回する。加速力は鋭く、電気モーターなどが発する唸りが速い感覚を助長する。だが半周ほどで、惜しい部分が見えてしまった。
フォードのスポーツモデルは、コーナリング中にアクセルペダルを急に放すとラインが内側へ絞られる、タックインに特長がある。フロントタイヤは路面を掴み、リアタイヤは軽快に外へ流れる。ボディの中心を軸に旋回するような、身のこなしが楽しい。
マッハEにも、フォードは同じ特性を与えようとしている。パワー・オーバーステア気味の特性も加えてある。一般的には、素晴らしいシャシー・チューニングだといえる。
コーナー外側のリアタイヤへ多くのパワーを加える制御は、BEVでは難しくない。オーバーステア状態に持ち込みやすい。ところが、マスタング・マッハE GTではバランスが今ひとつだった。