いま運転の楽しいEVは? 9位〜7位 フォルクスワーゲンID.4 マツダMX-30 フィアット500e 英編集部選TOP 11(2)
公開 : 2022.10.15 09:46
ドライバーズカーと呼べるEVは? 魂を震わせる感動は得られるのか? 英編集部が優れた11台を比較し2022年の頂点を選出しました。
もくじ
ー9位 フォルクスワーゲンID.4 GTX 差別化の難しさ
ーリアが主軸だと感じるシャシーバランス
ー8位 マツダMX-30 多くへ優れていると感じる
ー7位 フィアット500e 小サイズで機敏に走る
ーフォルクスワーゲンID.4 GTXとマツダMX-30、フィアット500eのスペック
9位 フォルクスワーゲンID.4 GTX 差別化の難しさ
フォルクスワーゲン・グループは、モジュラー・プラットフォームの導入で合理化を進めるが、モデル毎の差別化を明確化することへ手を焼いている様子。MEB EVと呼ばれるバッテリーEV(BEV)用をベースとするモデルでも、同様のようだ。
特にその影響を受けているのが、アウディなどの上級ブランド。さらにグループ内で理想的なセンターを務めるべく、フォルクスワーゲン自体のモデルも特徴が薄くなっているように思う。
フォルクスワーゲンが高性能なGTXの導入へ積極的なのは、その事実を改めようという考えが理由だろう。ところが、完全に機能しているともいいにくい。
グループ内には、ID.4 GTXに並ぶ存在としてクプラ・ボーンという強敵がいる。ステアリングホイール奥のシフトセレクターやパワーウインドウのスイッチ、小さなメーター用モニター、インフォテインメント・システムなどを共有することは、乗ればすぐわかる。
リアが主軸だと感じるシャシーバランス
実際のドライビング体験も遠からず。四輪駆動ながら、リアが主軸なことを僅かに感じるシャシーバランスは同じといえ、むしろID.4 GTXの方が重く軽快さでは劣る印象。ステアリングホイールの操舵感は重めでも、ダイレクト感が薄い。
ID.4 GTXが悪いというわけではない。グループ内には、より面白いモデルが存在するということ。コスト削減の結果も見え隠れする一方で、価格もそれほど安くない。
高性能モデルとしての、アイデンティティの難しさも見えてくる。エンジンやエグゾーストからドライバーが受ける感覚は存在せず、鋭い加速を簡単に引き出せるなかにあって、特別なモデルだと表現することは簡単ではない。
シャシーは、従来以上に磨き込む必要が出てくる。ID.4 GTXは直線が速いものの、そこの詰めが甘いように思う。 Illya Verpraet(イリヤ・バプラート)
8位 マツダMX-30 多くへ優れていると感じる
11台も乗り比べすると、それぞれの印象が混同しないように、しっかりメモを残す必要がある。マツダMX-30のメモを振り返ると、ナイス、と書いた項目が少なくない。このクルマの多くへ、優れていると感じたことがわかる。
特にインテリアは、しっかりデザインされていてまとまりが良い。MX-30は今回のノミネート車両では手頃な価格の部類に入るが、ホワイトのレザーとクロスが組み合わされたシートも、コルク材の化粧トリムも好ましい。
プラスティック製パネルもマット仕上げ。全体的に高級感があり、居心地が良い。
MX-30が普段乗りしやすいことも明らか。運転も楽しいといえる。しかし最大のネックといえるのが、160kmを超える移動時には、計画的に29.0kWhの駆動用バッテリーを充電する必要があること。英国の場合、現実的には小さくない制限となる。
またドライバーズカーと呼ぶには、得られる充足感もさほど高くない。ステアリングホイールは自然なフィーリングで、重み付けが良いものの、フィードバックは不足気味。
シャシーバランスも悪くないが、全体的には安全志向が強い。MX-30の最高出力は145psに留まり、際立つほどの動力性能というわけでもなかった。 Illya Verpraet(イリヤ・バプラート)