心や感覚がリセットされる ケータハム・スーパーセブン 2000へ試乗 2.0Lデュラテック搭載
公開 : 2022.10.11 08:25
グランドツアーも可能な優しい乗り心地
2.0Lエンジンはトルクが太く、585kgと軽量な車重には充分すぎるほど。7000rpmを遥かに超えて意欲的に回転し、素晴らしいサウンドも楽しませてくれる。右サイドへ導かれるエグゾーストが、ダイレクトに耳へ響かせる。
低回転域のトルクのおかげで、シャシーバランスを生かした積極的な運転が一層しやすい。細いタイヤを簡単に打ち負かすこともできる。
変速を多少サボってもお構いなし。リラックスしたクルージングで、より遠くを目指すこともいとわない。トルクはドライバーの味方だ。
またスーパーセブン 2000の場合は、リア・サスペンションがリジットアクスルではなく、ド・ディオンアクスル式になる。乗り心地は、一般的なファミリー・クロスオーバーよりしなやかといって良いだろう。
試乗車はフロアが低いワイドシャシーで、車内の居心地も悪くなかった。細身のナローボディより、空間にはゆとりが生まれる。
このセットアップなら、欧州全土を巡るグランドツアーもできるはず。少々ピーキーなエンジンにサーキット向けのサスペンション、カーボンファイバー製バケットシートなどが組み合わされた、170Rなどでは難しいはずだが。
もちろん、すべての操作系は超ダイレクト。まさにケータハムと一体といった感じだ。
滑らかに運転するにはクルマ側の調整と、ドライバーの慣れが必要。それが整えば、アシストの付かないブレーキやステアリングホイール、メカニカルな5速MTなどが、身体の延長のように感じられてくる。
現代では極めて稀有なドライビング体験
このライトウエイトな感覚は、他に例がない。これほど素晴らしいドライビング体験に浸ることができるモデルは、現代においては極めて稀有だろう。
英国にはアリエル・アトムという存在もあるが、価格は遥かに高く、シリアス度も高い。モーガン・スーパー3はレトロ感が強いものの、走りのシリアス度は低い。それぞれ、異なる楽しさと個性がある。
マツダMX-5も逸材ではある。だがケータハムと比べると、メルセデス・ベンツのような上級モデルに思えてしまう。
筆者はスーパーセブン 2000の前に、ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリックなどのバッテリーEV(BEV)へ試乗する機会があったのだが、心や感覚をリセットしてくれる体験だった。面白いほど真反対だった。
BEVを否定するわけではない。それらは滑らかでより速く走り、運転もしやすい。屋根やラジオも付いている。2台分のガレージがあるなら、BEVの隣にスーパーセブン 2000を並べるのが素敵だろう。
ケータハム・スーパーセブン 2000(英国仕様)のスペック
英国価格:3万9990ポンド(約660万円・キット)/4万2585ポンド(約702万円・完成車)
全長:3380mm
全幅:1575mm
全高:1115mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:585kg
パワートレイン:直列4気筒1999cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:182ps/7300rpm
最大トルク:19.7kg-m/6100rpm
ギアボックス:5速マニュアル