ブースト上昇で550ps BMW M4 CSLへ試乗 ハードコアでも一般道に妥協なし 後編
公開 : 2022.10.07 10:50 更新 : 2022.10.12 11:47
ブースト上昇が叶える別の味わいと550ps
動力性能だけを見れば、現代のスーパーカー基準には届いていないだろう。しかし、992型911 GT3のように、あらゆるシーンに対応できる能力を獲得している。驚くほど快適に安心して飛ばせる、Mモデルだ。
さらに、パワーの高まりが極めてドラマチック。比類ない加速度や最高速ではなく、最新の高性能な内燃エンジンとして、本当に味わいたいと思える個性が与えられている。
M4 CSLの直列6気筒ツインターボ・エンジンは、M4 コンペティションより40psもパワーアップし、550psを発揮する。25%上昇したブースト圧の成果らしい。確かに、アクセルペダルを蹴飛ばすと、吸気圧の高まりを体感できる。
通常のM4では、不気味なほどリニアにパワーが増していくが、CSLでは2500rpmから明確に勢いが変化する。ペダルを倒してからトルクがみなぎるまでには、1秒前後のラグもある。
この高圧ターボが、3.0L直6エンジンに別の味わいをもたらしている。レスポンスは完璧ではないかもしれないが、より生々しく、心が奪われる魅力がある。その少し近づきにくい性格に、むしろ強く引き込まれてしまう。
その気になれば7000rpmを余裕で超えるほど、吹け上がりは爽快。加えて、チタン製のエグゾーストシステムが素晴らしい排気音も響かせる。
ハードコアな性格ながら公道を楽しめる
今回の試乗は公道のみに限られた。入念に改良を受けたシャシーとブーストアップされたパワートレインが、サーキットでいかに能力を発揮するのか、期待せずにはいられない。
既に素晴らしいサーキットマシンといえたM4 コンペティションから、どこまで充足感が高められているのだろうか。恐らく、脱帽の仕上がりにあるのだろう。
最新のG82型BMW M4 CSLは、その3文字から筆者が最初にイメージした以上に、見事なMモデルのようだ。一層ハードコアな性格のM4でありながら、公道での能力にも妥協は感じられない。
ライバルや過去のCSL以上に、特別な日でなくても、クルマの運転を謳歌することができる。半世紀を迎えたM社の姿が、見事に体現されているようだ。
BMW M4 CSL(英国仕様)のスペック
英国価格:12万8820ポンド(約2125万円)
全長:4793mm
全幅:1920mm
全高:1387mm
最高速度:307km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:9.9-10.2km/L
CO2排出量:222-227g/km
車両重量:1625kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:550ps/6250rpm
最大トルク:66.1kg-m/2750-5950rpm
ギアボックス:8速オートマティック