フォックスコンに製造委託 米の新興EVメーカー、2023年に電動SUV発売

公開 : 2022.10.11 15:05

米カリフォルニア州の新興企業インディEVは、台湾の電子機器大手フォックスコンと提携し、2023年から電動SUV「インディ・ワン」の製造を開始します。

次世代EV、来年から製造開始

米カリフォルニア州に拠点を置く新興企業インディペンデント・エレクトリック・ビークルズ(インディEV)は、台湾のフォックスコンと新型EVの製造委託契約を締結した。

この契約で製造されるのは、今年初めにニューヨーク・モーターショーで披露された電動SUV「インディ・ワン」である。

インディ・ワン
インディ・ワン    インディEV

インディEVの創設者兼CEOであるシー・ハイは、「EV市場への参入において、家電製品の世界的リーダーであるフォックスコンと提携することで、インディ・ワンのドライバーを未来へ導くことができます」と述べている。

インディ・ワンの最初の1台は、環境NGO、グローバル・グリーンUSAのウィリアム・ブリッジ代表によって予約されている。同団体は、レオナルド・ディカプリオ、オノ・ヨーコ、ロバート・レッドフォードなどのスターが名誉理事を務めている。

インディEVは2017年に設立され、3年以上前から「ワン」を開発してきた。サイズとしてはテスラモデルYモデルXの中間にあたる中型SUVで、2023年半ばの生産開始予定に先立ち、現在プロトタイプによるテストが行われている。

75kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は370kmを見込む。価格は4万5000ドル(約650万円)から。95kWhのバッテリーを搭載する6万9000ドル(約1000万円)の上位モデルもあり、航続距離は480kmとなる。

車内体験を重視した設計

当初は北米のみで販売されるが、デザイン担当のアンドレ・ハドソンによれば、他の市場のホモロゲーションにも適合するよう設計されているという。いずれは欧州やアジアでも導入される見込みだ。

上位モデルにはVIC(車載統合コンピュータ)と呼ばれる高性能なWindowsコンピュータが搭載されており、ボンネットを開けるとはっきりと見ることができる。このVICの目的は、インディ・ワンを「デジタル・ツールボックス」とすることだ。

インディ・ワン
インディ・ワン    インディEV

アンドレ・ハドソンは、「EV技術の未来は、馬力よりも処理能力で測られるようになると考えています」と語る。

VIC、5G対応、マイク、カメラ(車内向き3台、車外向き2台)を搭載し、移動式ワークスペースとして、コンテンツの撮影・編集・アップロードのハブとして、あるいはAR・VRを用いたビデオゲームのプラットフォームとして機能させることが可能だという。

インディEVでは、乗員が遊べるゲームを独自に開発するほか、サードパーティの開発者にもシステムを開放している。

このように車内体験に重点を置いているとはいえ、インディ・ワンは最高出力477ps、0-97km/h加速4.2秒、最高速度210km/h(いずれも上位モデルの性能)を謳う。単なる「移動手段」として設計されているわけではないようだ。

シャシー技術については、タタやフォーレシアなど外部の専門知識を活用しているとのこと。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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