ロータス仕様にV6エンジン版も フォード・コルティナ Mk1からMk5まで5世代比較 前編

公開 : 2022.10.23 07:05  更新 : 2024.03.26 07:44

英国で最も売れたクルマへ登りつめた

1966年10月、コルティナはMk2としてモデルチェンジ。フォードはプロモーション活動の一環として、ディーラーに販売記念のパーティで「ミス・コルティナ」コンテストを実施するよう促したという。

俳優のレスリー・フィリップス氏が出演する映画の告知イベントにも登場し、2代目コルティナは1967年に英国で最も売れたクルマへ登りつめた。BMCの主力車種、ミニよりひと回り大きいADO16シリーズ以上に多売だった。

フォード・コルティナ(Mk2/1967〜1970年/英国仕様)
フォード・コルティナ(Mk2/1967〜1970年/英国仕様)

その勢いを加速させたのが、1968年に追加された特別仕様の1600Eだ。クラス上のフォード・ゾディアックなどに設定されていた上級グレード、エグゼクティブのコルティナ版だったが、それらより多くの注目を集めている。

ふんだんな標準装備のほか、GT仕様のエンジンにロータスのサスペンションで走りを強化。ドライバーへの訴求力を高めた内容といえた。モータースポーツ誌は、ダッシュボードの安っぽいウッドベニアが、このクルマには似合わないと評価した。

リチャード・ブラッドフォード氏が主演する映画、「マン・イン・スーツケース」がイメージをリードし、地方で保険を勧誘するような営業マンにとって完璧な移動手段になった。フォードは、3年間に1600Eを5万7524台販売している。

デイブ・スミス氏の明るいブルーミンクに塗られたコルティナ 1600Eは、1970年式。2019年に購入したという。「これは自分にとって初めてのMk2です。期待以上のクルマでした。スタイリングもそうですし、1600Eに盛り込まれた機能や装備のすべてが」

コークボトル・ラインのコルティナMk3

「ロータスのサスペンションは、実際に操縦性を伸ばしています。フォードはこの1600Eで、コルティナの正解を導き出せた感じですね」

当時の広告には、「あなたのクルマは、1週間後も興奮を誘うでしょうか?」という宣伝文句が載っていた。それから54年後、VAE 555Hのナンバーをぶら下げた彼の1600Eは、多くのクラシックカーショーで特定世代の気持ちを高ぶらせている。

フォード・コルティナ 2000GXL(Mk3/1970〜1976年/英国仕様)
フォード・コルティナ 2000GXL(Mk3/1970〜1976年/英国仕様)

「コルティナの周りに人が集まって、今まで維持し続けたことへの感謝を口にしてくれます」。スミスが笑顔で話してくれた。

他方、オレンジのMk3 コルティナ GXLは、1970年代の華やかさをまとっている。ドアパネルにはフェイクウッドのパネルが貼られているが、高価なカラーテレビや上等なオーダースーツを購入できる人が選ぶファミリーサルーンだった。

1970年、上品なデザインのMk2を置き換えるモデルとして、抑揚のあるコークボトル・ラインを与えたコルティナMk3を発表。ロンドン自動車ショーの目玉の1つになった。

豊かさを求めた時代を物語るように、エンジンは1.3Lと、OHVかOHCの1.6L、2.0Lと多彩。2ドアサルーンか4ドアサルーン、ステーションワゴンという3種類のボディスタイルに、5種類のトリムグレードが設定され、35種以上のバリエーションが選べた。

1972年には、コルティナは再び英国のベストセラーに返り咲く。ロジャー・チナリー氏がオーナーのMk3は、その前年の1971年式で、現在は結婚式の送迎や映画の小道具として活躍している。購入のきっかけは、1988年にさかのぼるという。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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