ルノーによる日産への出資比率引き下げ なぜ今? 着地点はどこか?

公開 : 2022.10.13 12:01  更新 : 2022.10.13 12:16

プロダクト/ユーザーにメリットある形で

欧米の経済紙などは、新会社の資本51%をルノーが保てるか否か、つまり日本勢とどちらが、今後のEV事業におけるイニシアチブを握るか? そこが焦点という見方もある。

おそらくはEV用バッテリーのサプライヤー選定や購買の問題から始まったアライアンス内の暗闘からゴーン辞任劇、リーダー&フォロワー戦略の停滞に見られるシナジー効果減少といた一連の流れが、今回の資本関係再編の内的要因といえる。

日産は、リーフから始まったEVを、軽自動車まで広げた。
日産は、リーフから始まったEVを、軽自動車まで広げた。    宮澤佳久

欧州にほぼ関係のない軽自動車規格で、日産サクラ三菱eKクロスEVが一定の成功を収めたことも、対フランス的には揺さぶりになったかもしれない。

一方で日本でつとに評判のいいルノー・メガーヌR.S.やアルピーヌA110のM5Pエンジンは元は日産起源とはいえ、WRCもF1もル・マンも制したルノーのシャシー開発能力はやはり侮りがたい。

今回の資本再編の話題は、次世代モビリティにおける生き残り戦略や開発研究について、アライアンス内でどちらがイニシアチブを発揮すべきかという日仏間のヘゲモニー争いなのかもしれないが、急速充電や給電の規格、リサイクルと生産の循環型モデル構築や脱CO2といった課題を含め、日欧それぞれのプロダクト開発そしてユーザーにメリットある形で決着してもらいたいものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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