焦点はサーキット アウディRS4 アバント・コンペティションへ試乗 M3 ツーリングを迎え撃つ
公開 : 2022.10.18 08:25
スーパーワゴンをさらにハードコアにした、コンペティションが登場。英国編集部が一般道で向上した能力を確認しました。
もくじ
ーサーキットに焦点が向けらたワゴン
ー軽量化と8速ATの改良で加速力上昇
ーステアリングやサスペンションも進化
ー実用性とサーキットでの能力を両立
ーアウディRS4 アバント・コンペティション(欧州仕様)のスペック
サーキットに焦点が向けらたワゴン
荷物をたくさん詰める高性能モデルといえば、アウディRS4 アバントは最たる例といえる。1990年代初頭にリリースされたスーパーカー・キラー、アウディRS2の後継モデルに相当し、現在においてもその魅力に不足はない。
ちなみにRS2は、0-48km/h加速でマクラーレンF1を凌駕していた。当時の80 アバントをベースに、ポルシェが手を加えた特別なワゴンだった。
RS4は2000年代初頭のB5系A4をベースに誕生し、現行モデルは4代目。代を重ねる毎に能力は磨かれ、圧倒される加速力や、他に例のない個性を受け継いできた。例えエンジンが自然吸気のV8から、ツインターボのV6に置き換えられても。
そんなスーパーワゴンなRS4だが、まだ物足りないというドライバーがいたのだろう。アウディは新たに、RS4 アバント・コンペティションを投入した。
B9系のRS4をチューニングし高速化させたモデルで、ステーションワゴンのシルエットでも、サーキットに焦点が向けられている。BMW M3 ツーリングへの対抗意識が見え隠れする。
軽量化と8速ATの改良で加速力上昇
ただし、通常のRS4 アバントとの違いは、パワートレインを見るとさほど大きくない。最高出力450ps、最大トルク61.1kg-mを発揮する、2.9L V6ツインターボは基本的にキャリーオーバーとなっている。
8速ATの制御ソフトは書き換えられ、変速時間を短縮。0-100km/h加速時間は0.2秒短い、3.9秒となった。鋭くアグレッシブに次のギアへつながるが、明確な変化とまではいえないだろう。
RSエグゾーストと呼ばれる排気系は、このコンペティションで初導入されている。エンジンルームと車内から防音材が8kgぶん省かれ、盛大なエンジンとエグゾーストのノイズを運転中に堪能できる。
2012年にデビューした3代目RS4が放った、極上のファンファーレには至らない。とはいえ、現代の高性能モデルにふさわしい音響だ。
ABSは再チューニングされ、通常のRS4ではオプションとなるカーボンセラミック・ブレーキディスクは標準装備。100km/hから停止までの制動距離を、2m縮めている。タイヤはピレリPゼロ・コルサを履く。
車重は1745kgあるものの、フルスロットル時の直線加速は猛烈。アウディがクワトロと呼ぶ四輪駆動システムが遺憾なく働き、8速ATが選んでいるギアに関係なく、甚大なトルクでドライバーの背中はバケットシートに押し付けられる。
間もなく試乗機会が得られるであろう、M3 ツーリングはどの程度の鋭さを発揮するのか? 比較できる時が楽しみでならない。