焦点はサーキット アウディRS4 アバント・コンペティションへ試乗 M3 ツーリングを迎え撃つ

公開 : 2022.10.18 08:25

ステアリングやサスペンションも進化

もちろん、RS4 コンペティションの進化は加速力だけではない。剛性の高められたアンチロールバーやサスペンション・スプリング、新採用のダンパーなどによって、コーナリング性能も磨かれている。

引き締められた姿勢制御と、圧倒的な安定性やグリップ力は、ステーションワゴンとしては異次元といえるほど。従来以上に、積極的にコーナーへ飛び込んでいこうという気にしてくれる。

アウディRS4 アバント・コンペティション(欧州仕様)
アウディRS4 アバント・コンペティション(欧州仕様)

ステアリングラックにも手が加えられ、レシオはクイックになり、操舵感は一貫性を増している。切り始めから反応が鋭く、通常のRS4ではややスローに感じられた印象が改められた。全体の動的特性にも、まとまりが出たと思う。

郊外の道を、高速で正確に縫うことができる。軽くはない車重を感じさせない。

今回の試乗はスペインの滑らかな舗装に限られ、つぎはぎの多い英国や日本でどんな乗り心地なのか、明確なことはいえない。少なくとも、標準装備のダンパーをソフトな状態にしていれば、若干傷んだ区間でも快適には感じられた。

オプションの10mm車高が落ちるRSスポーツ・サスペンション・プロは、一層硬いことも間違いない。とはいえ、RS4 コンペティションの高性能モデルとしての実力を考えれば、乗り心地に目くじらを立てるドライバーは少ないはず。

実用性とサーキットでの能力を両立

アウディRS4 アバント・コンペティションの英国価格は、8万4600ポンド(約1395万円)から。通常のRS4 アバントから小さくない上昇となるが、日常的な実用性と非日常的なサーキットでの能力の両立を考えれば、納得できなくはない。

もしインゴルシュタットのスーパーワゴンに興味を抱いたのなら、早いうちに行動へ移すことをオススメする。僅か75台の限定となる英国の場合は、予定数の殆どが既に埋まっているらしい。

アウディRS4 アバント・コンペティション(欧州仕様)
アウディRS4 アバント・コンペティション(欧州仕様)

アウディRS4 アバント・コンペティション(欧州仕様)のスペック

英国価格:8万4600ポンド(約1395万円)
全長:4780mm
全幅:1865mm
全高:1435mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:220g/km
車両重量:1745kg
パワートレイン:V型6気筒2984ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/5700-6700rpm
最大トルク:66.1kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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